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札幌の学校、エアコン設置率1割…対策急務 北の大地の涼しさどこへ
2025/7/24 11:20
札幌市内の学校で、冷房設備の整備が進められている。現在の設置率は全校の約1割。多くの子どもたちにとって学習に適した環境が確保されているとは言いがたく、市教育委員会は2年後の夏までに全校にエアコンが行き渡るように急いでいる。
23日の札幌は最高気温が35・7度の猛暑日となり、半数以上の学校が授業を取りやめて、下校時間を繰り上げた。25日は終業式で、昨夏に続き暑さ対策として例年よりも長い夏休みが始まる。
「25・2度。39%。熱中症ほぼ安全」。教室の前方にある温度計が快適な室温と湿度を示していた。
札幌市豊平区の東園小学校で10日にあった4時間目の授業。子どもたちが集中した様子で取り組んでいた。
東園小は今夏、普通教室に常設エアコンが設置された学校の一つ。昨夏までは室外機のない簡易型エアコンと扇風機で暑さをしのいでいた。
6年の小林葵衣さん(11)は「涼しい空気が教室全体に行き渡って気持ちいい。先生の話を聞きやすくなった」と喜ぶ。うちわであおいで授業を受けることがなくなり、集中しやすくなったという。
岡田美樹校長は「近年、札幌でも危険な暑さを感じる。昨年は校舎内が30度以上という日もあった。エアコンは学習の環境を整えるためだけでなく、児童の命を守るために必要」と話した。
札幌市は2023年夏に市内で統計史上最高の36・3度を記録したことを受け、24年度から全市立学校、幼稚園(312校、約6000室)を対象にしたエアコンの整備を始めた。
この夏に初めて室外機のある常設エアコンが稼働した学校は全体の12・5%にあたる39校(約580室)。26年夏に67・3%、27年夏に全校で供用が開始される見通しだ。
教室へのエアコンの設置は、愛知県豊田市立小で18年夏、小学1年の男子児童が熱中症で死亡した事故を受けて全国で進んだ。
文部科学省によると、24年の全国公立小中学校の冷房設備の設置率は普通教室で99・1%。簡易型エアコンを含むため、単純な比較はできないが、「かつて冷涼な気候だった北海道は『エアコン文化』が定着しておらず、設置が遅れている」とみる学校関係者もいる。
市教委は全校でのエアコンの稼働が27年になってしまう理由について「学校で使える電気の容量を増やす工事に時間と人手がかかっている」と説明する。教室にエアコンだけが設置され、スイッチを押しても使えない学校もあるという。
担当者は「子どもたちや保護者の期待に応えられず、しばらく時間がかかってしまう。申し訳ない」と話した。
暑さへの対策として、市教委がエアコンの整備とともに進めているのがソフト面での取り組みだ。
札幌の小学校は夏休みと冬休みの総数が50日と決まっている。23年度まで25日ずつだったが、昨年度から暑い学校で過ごす日数を減らすため、冬休みを減らし、夏休みを30日に増やした。
また、猛暑日の発表があった場合などは学校の判断で午前授業や休校などの措置もとっている。23日は200校が下校時間を繰り上げた。
ソース https://mainichi.jp/articles/20250724/k00/00m/040/079000c