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【北朝鮮】 転覆した新型駆逐艦を「風船」で浮揚? 専門家「初めて聞く手法」

米海軍分析センターの研究員が公開した衛星写真には、北朝鮮の駆逐艦に取り付けられた複数の物体が確認される=X(c)news1
【05月28日 KOREA WAVE】北朝鮮が最近、咸鏡北道の清津(チョンジン)造船所で進水中に転覆し損傷を受けたとされる新型駆逐艦の復旧作業において、艦艇に「風船のような物体」を取り付けている様子が27日、衛星写真で捉えられた。
これが船体を浮揚させるための装置ではないかとの分析が一部で出ているが、専門家からは「前例のない方式」との指摘も上がっている。
米国のシンクタンク「海軍分析センター(CNA)」のデッカー・エベルス研究員は26日、自身のX(旧ツイッター)に該当の衛星写真を投稿した。そこには、北朝鮮の駆逐艦に複数の小型物体が取り付けられており、防水シートで覆われた艦体と海面に映る影から、それらの物体が空中に浮いている様子が推察される。
エベルス氏は「まるで映画『カールじいさんの空飛ぶ家』に登場する、風船で家を空に浮かせる手法を試みているようにも見える」と述べ、北朝鮮が突飛な方法で艦体の引き上げを試みている可能性を示唆した。
韓国軍も同様の動きを確認しており、軍関係者は「北朝鮮が防水シートの上空および海面に風船状の未確認物体を設置していることを把握しており、詳細を分析中」と説明している。
一方で、韓国国内の専門家はこの物体を「浮揚」目的ではなく、「追加の沈没を防ぐための浮力補助具」と見ており、従来の事故対応ではあまり見られない、北朝鮮独自の対策ではないかと分析している。
元潜水艦艦長であるチェ・イル潜水艦研究所長は「艦体のさらなる沈下を防ぐための応急措置と見られる。今後、船体を立て直す作業に進むと予想される」と語った。また、防衛産業関係者は「正直なところ、これまで見たことのない方式であり、技術的に実現可能とは思えない」と疑問を呈している。
問題の駆逐艦は5000トン級の新型艦とされ、今月22日に清津造船所で開かれた進水式の最中に転覆した。北朝鮮側は「浸水した隔室の排水と艦首部の分離で2~3日、艦体側面の修復に約10日を要する」としているが、韓国側の専門家の間では「完全復旧にはそれ以上の時間がかかるだろう」との見方が強い。