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【ハンギョレ】「韓国は終わった」に対する反論…「まだ韓国は終わっていない」
それでも、韓国が終わったという診断は大げさだ。人口構造の変化が必ずしも生産力の減少につながるわけではないからだ。『働く人が消える』(ウィズダムハウス)という本によると、現在より未来の高齢者はより健康で教育レベルが高く、高齢人口の割合が増大しても、生産力は思ったほど大きくは落ちないという。また、比較的低い韓国の高齢者、女性、青年たちの経済活動への参加率が先進国の水準まで上がれば、生産年齢人口の減少分は相殺される。著者は、経済活動への参加率が上昇した場合、25年後も労働人口が現在の90%の水準を維持すると見通した。これに技術発展による労働生産性の向上まで考慮すれば、将来の生産力はむしろ増える可能性もある。
さらに、人類の適応力を過小評価してはならない。人類は常に危機に直面し、常に終末を心配していたが、現在の世界はどの過去よりも豊かだ。以前筆者が別の文章で言及したように、歴史的に人口減少は、賃金上昇、勤労条件の改善、生産性向上などの経路によって、残った世代の福祉を向上させた。ここ数年でも、人口危機の議論が本格化して数多くの出産・養育支援策が提示され、そのおかげなのか、2023年に底を打った出生数と特殊合計出生率は、昨年は小幅ながら上昇に転じた。完全な傾向の反転なのかどうかを判断するにはまだ早いが、幸いなことに、出生率の増加傾向は今年も続いている。
「韓国は終わった」と大騒ぎするのもその意図はあるだろうが、単純に表面的な現象だけを見て過度な恐怖に陥る必要はない。不確かな未来を心配することよりも重要なのは、今ここに生きている人たちが幸せになることだ。出産をあきらめさせる社会の構造的な矛盾を打破すれば、少子化の傾向は自然に反転する。実行が問題なのであり、解決策はすでに提示されている。結婚と出産を避ける主原因として挙げられている住居費用、教育競争、長時間労働、ケア負担などを緩和することが優先されるべきだ。出産と養育に対する実効的かつ果敢な支援政策も、引き続き開発しなければならない。
さらに、遅らせることはできても逃れることはできない人口構造の変化に適応するために、制度的改革も並行して進める必要がある。性別、雇用形態別、国籍別、年齢別の賃金格差を減らして、これまで労働市場で疎外されていた人たちに働くインセンティブを提供すれば、人口構造の変化による労働力の損失を相殺することができる。財政部門では、健康保険、国民年金改革に加え、将来の税収余力の減少に備えた租税体系の改編が必要だ。無分別な減税は、未来世代に負担を押し付けるだけだ。
(略)
家族、職場、地域で形成された関係のなかでケアをするということは、幼児から高齢の両親、移動が困難な患者、障害者など、生涯の全期間に拡大可能だ。最近出版された『私たちはどうやって互いにケアできるのか』(ヘイブックス)で強調されたように、個人と家族が専門に担ってきたケアの負担を、政府、地域社会、企業、そして究極的には市民全員が参加する「ケア共同体」が分担できれば、少子化傾向の反転だけでなく、高齢化時代の対応の役にも立つだろう。私が経験した「関係の中でのケア」と、このようなケアが社会全体に広がるという希望があるからこそ、まだ韓国は終わっていない。
チャン・ヨンウク|対外経済政策研究院研究委員
ハンギョレ 2025-05-22 10:29
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/53269.html