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「日本の部活動に憧れる」韓国の子供たち。「22時まで学校です」勉強漬けの学校生活を元教員の韓国人が語る
しかし、お隣韓国では部活文化が一般的ではなく、受験勉強を中心とした学校生活が主で、日本に憧れを抱く人も多いそうです。
今回は日本の部活文化に憧れを持ち、かつ韓国で3年前まで教員をしていたキムさん(30代・仮名)に、韓国での学生生活や勉強以外の過ごし方について伺いました。
22時まで学校に残って勉強する韓国の高校生
ーー韓国には、日本の部活文化に憧れを持つ人が多いと聞きましたが、本当ですか?
キムさん:多いですよ!『ハイキュー!!』や『SLAM DUNK』みたいに、みんなが協力して全国大会を目指すような青春は日本独特です。
僕は日本に住んだ経験があるのですが、家の近所の中学校から毎日バスケットボールの音が聞こえてきて、部活が当たり前にある学生生活はいいなと思ってました。
僕も韓国での学生時代は軽音部で活動しましたが、みんなで集まるのは多くても週1回。うまくなりたい子と、息抜き程度に楽しみたい子がいて、熱量の差もありましたね。
ーー韓国の学校には放課後の部活がないと聞きましたが、あるのですか?
キムさん:なくはないですが、基本は勉強メインです。中学の頃だと、部活以外の日は塾に行く子が多かったです。部活がある日でも、もちろん終わってから塾通い。貧乏な家庭の子以外は、みんな放課後も塾で勉強します。
高校に上がると、高校独自のルールが加わります。韓国にも日本でいう「進学校」と「普通校」という分類があり、進学校だと「夜間自主学習」に参加しなければなりません。
夜間自主学習とは、終業後18時から22時まで学校に残って勉強する時間のことです。学年関係なく、学校で夕食を食べてから自分たちの教室で予習や復習に励みます。
全員参加ではない運動会
ーー学校に残って夜まで勉強させられるのですね。家で勉強してはダメなのでしょうか。
キムさん:僕らの時代は自宅での勉強は許されず、強制参加でした。見回りの先生が廊下の窓から鋭い目つきでこちらを見張り、私語すると怒られたり棒で体を叩かれたりしましたよ。
ちなみに、僕は音楽大学志望で、夜間自主学習にまったく意味を見出せませんでした。そこで一度、勉強をサボって部室でギター練習をしたら、先生にバレて叩かれましたね(笑)。
帰宅できるのが22時以降なので「お母さん、学校に行ってきます」よりも「先生、家に行ってきます」みたいな感覚が強かったです。
ーー修学旅行とか運動会のような学校行事はどんな感じですか?
キムさん:もちろん、ありますよ。ただ、運動は得意不得意が出やすいので、全員参加ではありません。スポーツ能力に長けた子だけが選手になり、それ以外の子たちは応援に回ります。
運動が得意でない子は、綱引きや玉入れなどのライトな競技にだけ参加しましたね。体育の授業でタイムを計測すればOKで、競技に出なければいけないわけではありません。
韓国の情操教育はどうなっているのか
ーーそれでは、韓国の子どもたちは音楽や運動の能力をどこで伸ばすのでしょうか。
キムさん:学校生活のスキマ時間を使って、エネルギーを発散させます。日本にも、休憩時間にドッジボールやサッカーをする子どもがいますよね。韓国にも、ランチ休憩や夜間自主学習が始まる前の時間にスポーツする子たちはいます。
ダンス部や文化部だと、限られた部活時間で能力を発揮させるイメージです。ただ、文化祭の発表前は、うまくなりたいので週末も集まって集中的に練習しました。
ーー勉強ずくめの生活で、恋愛、友達付き合い、遊びといった“青春らしさ”は存在するのですか?
キムさん:青春らしさは、当たり前にありました。塾がない土日にカラオケに行ったり、夜間自主学習が終わってから彼女と話したり。僕の時代は、年齢確認がゆるいお店で友だちとお酒を飲むこともありました(笑)。
合同バンドを組んだ他校の仲間たちと、夜中の学校にこっそり侵入して遊んだりもあったな。学校のルールが厳しかったからこそ、青春がより楽しく感じられたのかもしれません。
続きはソースで
<取材・文/松浦聡美>
https://news.yahoo.co.jp/articles/57dbae22ae476dc049dd0e520eb08b159904c5c3?page=1