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割安な韓国車・中国車があるのに日本車ばかりがベストセラーになる…ASEAN地域で日本車が圧倒的人気のワケ
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トヨタは、世界一の販売台数を誇る自動車メーカーです。2024年は、トヨタ(レクサスを含む)だけで1016万台のクルマを販売しました。子会社であるダイハツと日野をプラスすると、1082万台にもなります。
その販売の地域別の内訳を見てみると、1016万台のうち、北米が273万台、欧州が117万台、中国が178万台、アジアで144万台、日本で144万台、中東とアフリカとオセアニアで112万台、中南米が49万台となっています。
どこかの地域に偏ることなく、世界各地でまんべんなく売れていることがわかります。世界のどこであっても売れるというのは、世界中の人が認める価値がトヨタにあることを意味しています。
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また、トヨタ製品の品質のよさの具体的なメリットとして、「故障のしにくさ」があります。信頼性と耐久性に優れているのです。近年のクルマは、どこの自動車メーカーも信頼性と耐久が高まっていて、あまり差が出なくなりました。
しかし、昭和や平成の時代のクルマは、よく故障をしていたのです。特に、輸入車と日本車を比べると、その差は歴然としていました。そこに日本車の強さがあったのです。
欧米の自動車メーカーに比べて、日本の自動車メーカーは後発となります。第二次世界大戦以前は完全に日本の自動車メーカーが遅れていました。
トヨタは豊田自動織機製作所時代の1935年に最初のクルマである「G1型トラック」を開発しましたが、このトラックは故障に悩まされました。
あまりにも故障が多いため、当時のトヨタの社長である豊田喜一郎氏が、現場にかけつけて修理したそうです。その様子は、いまも豊田市にあるトヨタ鞍ヶ池記念館のジオラマに残されています。
そうした失敗を経験とし、豊田喜一郎氏は、「お客様第一」「現地現物」を謳い、再発防止にあたったとされています。具体的には、1937年のトヨタ設立時に、トップに直結した監査改良部を設置して、製品と業務を監査する体制を整えます。
その監査改良の業務は、その後も続き、現在でも品質保証部に継承されています。
つまり、トヨタは最初のクルマが故障続きだったことで、品質の大切さを思い知らされ、それから一貫して品質にこだわってきたというわけです。
■砂漠やジャングルで絶大な信頼を得ている2台
また、トヨタ車の品質のよさ=故障しないというクルマの象徴となるのが、現在のトヨタで最も長い歴史を誇る「ランドクルーザー」と、世界的ベストセラーピックアップトラックである「ハイラックス」の2台です。
どちらも砂漠やジャングルといった厳しい自然環境の地域で、絶大な信頼を得ています。過酷な環境において、クルマの故障は、即、命の危険に直結してしまいます。そこでは故障しないことが、最大の武器になるというわけです。
また、貧しく所得の少ない地域ほど、トヨタ車の人気が高くなるという現象もあります。所得の少ない人にとってクルマは、不動産と同様に、非常に高額な買い物となります。
だからこそ、壊れやすいクルマはほしくないのです。そして丈夫で長持ちするクルマほど、高く売り払うこともできます。耐久性の高いクルマは、資産価値が高くなるのです。
アセアン地域で、トヨタ車が人気となっている理由は、ここにあります。走行10万キロであっても、ほとんど新車同様に走ってくれるトヨタ車は、長く乗った後も高く売り払うことができるのです。
アセアンには、日本車よりも割安な韓国車や中国車も売っていますが、ベストセラーになるのは日本車ばかりというのが現状です。貧しいからこそ、クルマを選ぶ目が厳しく、その結果として日本車が選ばれているのです。
日本で本格的に自動車メーカーが発展したのは、1960年代のモータリゼーションの後からです。欧米の自動車メーカーから見れば後発だった日本車メーカーは、遅れてスタートした分、一生懸命に自身の技術を磨きました。
その努力が、欧米メーカーを抜き去る品質の高さを実現したのです。その結果が、1970年代後半からの日本車の世界進出の成功となりました。最初からすごかったわけではなく、不断の努力の成果がいまの日本車の地位を築いたのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d4bcdcf7a11bd04688bed64e047c95ccd6f603cd?page=1