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【Money1】 日本『TOTO』チャイナで2工場を閉鎖! 従業員の皆さんが「再見」
事態はまだそこまでいっていません。
大きな企業はホイホイ工場建てたり壊したりはできません。また「中国から全面撤退してもいいのか」という判断は難しいものです。
『TOTO』は洗浄機能付きトイレ「ウォシュレット」やお風呂などについての製品で有名な企業です。洗浄機能付きトイレといえば、
日本を代表するハイテク製品として世界的に有名。訪日してウォシュレットを体験し、「買って帰る」などと言い出す外国人が
いるぐらいです。
↑『TOTO』中国公式サイトより。
『TOTO』も中国に進出していたのですが――2025年04月28日に開催れた決算発表会において、北京市の『東陶北京』(1997年稼働)と上海市の『東陶華東』(2004年稼働)の工場2カ所を生産停・閉鎖すると発表。
同社によると、2025年03月期決算では、中国における事業は35億円の営業損失を計上。併せて、2工場の閉鎖に向けて340億円の特別損失も計上しました。
ただし事業全体では、
総売上:7,244億円(+3.2%)
営業利益:484億円(+13.4%)
と増収増益を確保しています。
特損を出した影響で純利益は「121億円(-67.3%)」となりましたが。
工場2カ所で約2千人の従業員が失職することになります。
同社田村社長は、決算発表会において、従業員の配置転換や退職金などの処遇について「できる範囲で最大限の恩返しをしたい」と話した――とのこと。
『TOTO』は中国事業から完全撤退するわけではありません。
衛生陶器の製造については、漳州市の『東陶福建』(14年稼働)と大連市で2025年内に稼働を始める『東陶遼寧』の2工場で担当する――としています。
生産能力は約4割減りますが、中国市場の現状を考えればやむを得ない事業再編といえるでしょう。
・不動産市場が崩壊しているので……
『TOTO』の中国事業が不振に陥ったのは、中国の不動産市場が崩壊しているからです。
住宅が売れずに不振になれば、「住宅設備」について不振になるのは当然のことです。
同様に衛生陶器の製造を手掛ける『LIXIL(リクシル)』は2024年03月期までの決算ですでに赤転(139億円の純損失)しており、同決算によると、中国市場における総売上は「429億円」。対前年比で「-2%」です。
中国の不動産市場が好転しなければ、住宅設備を生業とする企業の業績も上向かないでしょう。
実際、中国では家具業界が甚大な被害を受けています。例えば、以下は『新時代news』チャンネルがYouTubeに上げた「中国の家具産業が衰退」という動画ですが、見るも無惨な現状を伝えています。
https://youtu.be/bdDfn_QXW6c
上掲の動画を見ていただければ、家具モールが閑散としていることが分かります。住宅市場が不況になれば、住宅に備え付けられる什器や便器、浴室設備なども不要になるのです。
――というわけで世界的に有名な『TOTO』も中国工場2箇所を閉鎖せざるを得なくなったのですが、従業員の皆さんは別れを惜しんでいます。
<<日本語訳>>
大きな環境の影響を受けて、二十年以上続いてきた会社が昨日ついに閉鎖・終了しました。
清算して従業員は退職、失業者となりました。
さようなら、東陶華東有限公司(TOTO華東有限公司)。
先にご紹介した、中国企業『生迪光電科技』のように従業員の給与を6カ月も滞納したママ飛びました――なんて話はありませんから、
中国で従業員の皆さんは外資企業に別れを惜しむのです。
(吉田ハンチング@dcp)
2025.05.10
https://money1.jp/archives/147852