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日本のファン「チケット売り切れで球場ハシゴした」連日満員の韓国プロ野球の現状
「蚕室(チャムシル)はチケットが売り切れで入れなかったんです」
その日のロッテはソウル市の蚕室で斗山(トゥサン)ベアーズとの対戦だった。しかし14時の試合開始前に入場券は完売。その男性は17時開始の仁川へと移動した。両地は地下鉄を乗り継ぎ約1時間半、直線距離で約34キロ。東京ドームとベルーナドームのような位置関係だ。仁川は当日券に若干の余裕があった。
今季のKBOリーグはここまで175試合中、82試合が満員。2万人規模の各球場に1試合平均1万7497人が来場している(いずれも5月5日現在)。チケット入手は新興4球団のビジターゲームを除き、平日、週末問わず難しくなっている。
「そんなに人気なら日本でネット予約すればいいじゃん」という声もあるだろう。しかし韓国のチケット予約サイトやネット通販は会員登録時に韓国の携帯電話番号と契約者の本人認証などが必要。海外在住者には容易ではない。
購入時の決済も韓国発行のクレジットカードに限られ、海外カードは使えないことが多い(一部、音楽公演などを除く)。国内ファンのチケット争奪戦が激化する中、海外向けに門戸は開かれていないのが実状だ。韓国での観戦を繰り返し楽しむ日本のファンの中には、現地在住の友人、知人にチケット入手を依頼している人もいる。
人気の内野応援席のチケット料金は平均2万ウォン(約2100円)程度で、若い世代でも手が出せる価格帯だ。一部球団では試合日ごとにチケット価格が変動する「フレックス・プライス制」、需要と供給に合わせて価格を変動する「ダイナミック・プライシング」を導入しているが同席種で3万ウォンを超えることはほぼない。
高い野球人気は球場内にとどまらず5月4日には全5試合中、2試合が映画館での「ライブビューイング」を行った。こちらの料金も2万ウォンだ。球場内は2、30代を中心に女性客が多く、週末は家族連れも増える。一過性のブームではなく趣味、娯楽としてプロ野球が完全に定着している印象だ。
韓国では前出の男性のように対戦カードとは異なるチームのユニフォームを着ている観客をしばしば見掛ける。理由は様々だがKBOリーグではそれを禁止する観戦ルールはない。それぞれの事情やビギナー、にわかファンにも優しい。そのことを良く思わない人もいるだろうが、子供や女性が多いスタンドで揉め事はほとんどない。
一方NPBでは過去に生じたトラブルなどを踏まえて、「ホーム、ビジター応援席では当該チーム以外の応援行為、ユニフォームの着用、応援グッズの使用を禁止」、またZOZOマリンスタジアムでは「全座席でホーム、ビジター以外のNPB球団のユニフォーム着用、応援グッズの使用を禁止」といったルールが設けられている。
「スタンドはいつもガラガラで行けばいつでも入れた」というのは昔の話。現在の韓国の野球場は活気にあふれている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7d37dd5f35a339c58984fbff65f0bc61c0c66d7