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【韓国】「対馬仏像」の元の場所、科学的検証を急げ~偽物なら戻せば良いし本物なら説得と妥協の知恵を出せ
過去10余年間、外交問題まで飛び火したこの事件は2016年4月、忠南瑞山市浮石寺(プソクサ)が国家を相手に訴訟(有体動産引渡民事訴訟)を提起して始まった。「1330年2月、浮石寺に奉安しようと仏像を製作した」という結縁文が仏像から出たし、‘高麗史’にも1352~1381年、倭寇が瑞山に侵入した事実が記録されている、というのが主な根拠であった。1審裁判所も「瑞山に侵入した倭寇が略奪した可能性が大きい」として浮石寺側の手をあげた。
略奪された仏像を元の所有者に戻さなければならないという浮石寺の主張はある意味当然だ。この仏像を文化財に指定した日本の長崎県教育委員会と観音寺側が仏像取得経緯と文化財指定理由を明らかにしないことも疑問を育てる。
しかし、所有権裁判の結果と関係なく仏像が「国宝級文化財」と認められるなら精密な科学的検証が必要に見える。倭寇の略奪を立証する直接的な資料がないばかりか、今も日本右翼が「盗まれた仏像」を嫌韓材料として活用することを勘案すれば「判決後日の暴風」にも備えなければならない。
これに国内の代表的鋳物技能保有者であるイ・ワンギュ氏(京畿道無形文化財)とムン・ヨンスン元文化財鑑定委員は「仏像は我が国伝統の蜜蝋鋳造方式ではなく鋳型を結合する現代の分割鋳造方式で製作されたと見られる。現代金属であるアルミニウムを使った時に現れる白苔もあちこちで発見されるなど典型的な偽作」と主張する。
彼らは仏像内部に金属に溶けこんだネジ釘が発見され、あちこちに薬品処理跡も現れるなど偽作の疑い事例を入れた30ページ分量の調査報告書を法廷に提出した。一方、国立文化財研究所が2014年12月出した報告書(‘日本盗難仏像の科学的分析結果’)はアルミニウム成分を検出できない分光器で仏像を分析し、仏像から金(Au)成分もほとんど検出されず、偽作論議を解消できなかった。
浮石寺所有の主な根拠に上げた縁結文もまた、実体を確認しなければならない。1978年、日本のある大学教授の論文に出てくるこの縁結文が高麗時代の紙と墨を使ったか検証しなければならない。したがって控訴審宣告前にこのような指摘に対する検証と共に公開席上で仏像試料を採取し、複数の鑑定機関に再分析を依頼する必要がある、という主張が説得力を持つ。
この過程で偽作であることが明らかになれば戻せば良い。珍品ならば浮石寺所有という科学的証拠を出して説得と妥協の知恵を発揮しなければならない。これは仏像が本来の位置に戻ることでもある。
(後略:世界の音を観る観世音菩薩の知恵が必要だ。)
東亜日報(韓国語)
https://www.donga.com/news/Opinion/article/all/20211122/110387479/1