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阪神・野村克則2軍バッテリーコーチ「全て僕の基盤」ノムラの考え伝承する
矢野政権4年目の秋季練習が甲子園(野手組)と鳴尾浜(投手組)で行われている。今季はシーズン2位で終わり、CSファーストSで巨人の前に敗退。屈辱を糧に来季17年ぶりのリーグ優勝を目指す上で必要な戦略とは-。『新コーチに聞く』。第1回は新たに就任した野村克則2軍バッテリーコーチ(48)。打倒・巨人に燃える捕手育成が指導テーマの一つとなり、父で昨年2月に他界した故・克也氏の教え「ノムラの考え」を伝承する。
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-秋季練習から合流。チームの雰囲気は?
「みんな、選手一人一人を見てると能力も高いしね。来年に向けて始まってるっていう活気もあるし。すごくいいと思います」
-03年以来19年ぶりに阪神に帰ってきた。
「(ユニホームは)似合う?『違和感ない』って言われたんだけど。周りも北川さんとか、もちろん矢野監督も。福原とかもいるけど知った顔だから。こっちは入りやすいといえば入りやすい」
-阪神と巨人、両球団とも経験している。
「すごいでしょ?今、山本と俺くらいだからね」
-伝統の一戦とは。
「阪神と巨人は伝統があって。周りからもそうやって言われると選手も力が入るだろうし、僕らも。昔、野村監督が『ジャイアンツに勝たないと優勝できない』って言ってたから。今でもそれは変わらないと思うしね。やっぱり戦力的には一番というところだから、ジャイアンツを倒していかないと上にはいけないのかなと。今年はジャイアンツに結構勝ったから上にいけたと思うしね。それは意識して戦う相手じゃないかなと思います」
-伝統の一戦を戦う上で大切なことは?
「う~ん。細かい技術とか、どうやって戦うかという戦術もあると思うけど、やっぱりメンタルが一番大事じゃないかなと思うね。独特の雰囲気とかあるから。やっぱりメンタルが強くないと。もちろんプロ野球の世界はメンタルが強くないとやっていけない」
-メンタルの強い選手を育てていく。
「自信の裏付けって何だって言ったら技術がしっかりして、自分ができる、これくらいのことできる、やれると思うこと。多分メンタル的にも強くなると思うし、成功例というかね。実体験が自分を強くしてくれると思うから。特にキャッチャーなんてまさしくそれだと思う。経験がモノを言うポジションで、だから育てるのが難しい、時間がかかると言われるポジションだと思うからね。そこは2軍でじっくり、考え方とかね。取り組んでやってくれたらいいと思いますけどね」
-就任会見では下半身を「涙が出るまで鍛える」と言っていた。
「やっぱり体力、知力、気力ね。体力がないとね、気力も知力もできてこないから。若い子は鍛えていかないといけないし、体力があっての。140何試合キャッチャーで出て、乗り切るといったら大変だと思うから。今のうちにね、鍛え上げていきます」
-指導する上で一番大切にしていること。
「選手としっかり会話すること。一方的にならないように。もちろん時と場合によっては注文を付けて一方的になる部分もあるかもしれないけど。相手のことを、何を考えているのかということも大事だから、配球の話じゃないけど。『なんでそのボールを投げたんだ』じゃなくてね。『なんでそのボールを投げてその意図は何なの?』というところが大事だと思うから」
-野村監督の教えも若手選手に伝える。
「全てというか、僕の基盤になっているのは野村監督に教わったことだから。捕手論とか人を教育していくとかっていうところはすごい言われたところだから。僕らもそうやってやってきてるし、今の時代はとは言うけどね。やってきたものというのは間違いではないと思うし、それをうまく伝えていけたらいいかなと思う」
-これから指導が本格化していく。
「僕はまだ探られているな。こっちも初めて会ってやぶから棒にああだこうだとは言えない。性格とかプレースタイルとかいろいろあると思うから、これからよく話をしながら。キャンプとか行けばもっと話す時間もあるし、まだ、いろんなことがお互い理解できていないから。僕の考え方も伝えないといけないし、選手たちが考えていることも取り入れながら指導していきたい」
◆野村 克則(のむら・かつのり)1973年7月23日生まれ、48歳。東京都出身。現役時代は右投げ右打ちの捕手。堀越から明大を経て、95年度ドラフト3位でヤクルト入団。現役時代の登録名はカツノリ(2004年のみ本名)。00年に阪神移籍後、巨人、楽天でプレー。通算成績は222試合で打率・185、4本塁打、17打点。06年現役引退後は楽天、巨人、ヤクルトでバッテリーコーチなどを歴任。21年は楽天育成捕手コーチ。父は故野村克也氏。