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【朝日新聞】国会議員のあいさつ文作成依頼、厚労省に1年で400件「へそ曲げぬよう…」
厚生労働省官房総務課から各部局の担当者に向けて送られた調査依頼
国会議員の一部が支援団体などの会合に出席する際、あいさつ文や講演資料の作成を厚生労働省の職員に依頼していることが、同省の内部調査でわかった。依頼件数は、2019年12月から20年11月までで少なくとも400件にのぼる。与党からの依頼が中心だが、野党分も数十件あったという。専門家は「公務員が一部の政治家のために活動することは法の理念にそぐわない」と指摘。働き方改革を担う同省で把握された職員の「負担」の実態を受け、公務員の業務のあり方が改めて問われそうだ。
■若手が見直し直訴
調査のきっかけは昨年11月中旬、同省の職員有志でつくる「改革若手チーム」が当時の河野太郎・行政改革担当相と面会し、あいさつ文の作成などが「(若手の)負担になっている」と見直しを求めたことだった。チームは19年春、同省の業務や組織の在り方を議論するため、20〜30代の若手職員が中心となり38人で発足した。メンバーは医療系や労働系など幅広い職種から参加しており、同年夏には「緊急提言」をまとめ、職員の業務量の多さや過酷な労働環境を指摘してきた。河野氏は昨秋から1年余りの行政改革相就任中、霞が関の国家公務員のサービス残業を改める姿勢を示していた。だが同省幹部は、朝日新聞の取材に対して、議員からの執筆依頼については問題視しておらず、結果も公表しない考えを示している。
同省官房総務課が各部局の担当者に送った調査依頼の文書によると、調査は昨年11月に実施。「地元の会合等に出るので、あいさつ文をつくってほしい」「地元の会合等で話さないといけないので、講演資料(メモ)を見繕ってほしい」といった国会議員事務所などから同省職員への依頼の件数を尋ねた。対象は「政治家が政務として行う活動で、政策秘書がやるべき仕事」とし、「地元の会合等」には支援団体や業界団体なども含むとしていた。調査は「スピード感重視」とし、期間は19年12月から1年間に限っていた。
また文書では、こうした依頼の基本的なルートについて「(国会)連絡室→各局書記室→各課国会窓→担当」と説明。締め切りは昨年11月の「26日中厳守」で、「与党○件(うち自民党○件、公明党○件)、野党○件」と分類したうえ、省内のシステムに登録して回答するよう求めた。
文書によると、国会議員からの依頼は本来、国会連絡室が紙で保管しているが、すでに破棄されていたため、改めて調査をしたという。関係者への取材では、調査に対して400件以上の回答が寄せられたという。依頼したのは主に与党議員だったが、野党議員も数十件あったという。
元同省職員の一人は、あいさつ文の作成について「業務の負担になっていた」と明かした上で、「主に原稿を書かされるのは若手で『これは本来の公務ではない』と感じつつも、上司からの指示なので断れないのが実情だ」と振り返った。
調査に関して厚労省官房総務課の野村知司課長は「調査を行ったのは事実だ」としつつ、「状況を把握するためで網羅的なものではない。現時点で公表予定はない」と説明。吉田学事務次官は、国会議員が政務として出席する会合などのあいさつ文を職員が作成することについて、「政策内容や政府の政策方針について、言いぶりなどを情報提供することは、公務員の仕事として行われてもおかしくない」としている。
行政法に詳しい正木宏長・立命館大教授はこうした依頼について、「国家公務員法96条で公務員は全体の奉仕者に位置づけられ、個別の政治家の活動を支援することは、その理念に反している」とし、「国会議員からの依頼が職員の負担となり、本来の公務に支障をきたしているとすれば、それも問題になる」と指摘している。
■他の議員の文章に似すぎないよう工夫
元職員らへの取材からは、行政…
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2021/11/20 21:00 朝日新聞
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPCN5W84PBFUCLV016.html