【バンドリ!】始まった、と思う。

【バンドリ!】始まった、と思う。

【バンドリ!】始まった、と思う。

にじげん!デイリーそうだねx14
さきちゃんの敢えて曲げられた指先が、その指の背が、私の頬に触れてきて撫でていく。優しくさする淡い感触がくすぐったくて、心地よくて、頬から全身に熱が広がっていくみたい。
「初音」
伏し目がちのさきちゃんが私を呼んで、それから上目遣いに私を見上げて、強請っているように声をひそめる。
「……初音」
もう一度呼ばれてから、応えないと、と思う。さきちゃんの望むように、私の望むように、熱を帯び始めた身体に正直になろうと、震えた声を上げる。
「さき、ちゃん」
たった一言なのにままならない。さきちゃんの真っ直ぐな瞳が私を捕らえている。その中に映る顔は、とっくに熱に浮かされていた。
まるで、夢みたいな時間だった。

【バンドリ!】始まった、と思う。|にじげん!デイリー

1: にじげん!デイリーそうだねx7
 何がきっかけでこの時間が始まったのかは曖昧だった。一緒に暮らしていたから? それとも何となくなの? 近くに居て都合が良かったから? 理由なんて分からない。さきちゃんが、人恋しかっただけなのかも。
 考えないようにしていたけど、さきちゃんのこと、何も知らなくて。私に触れるのにどんな理由があるのか、分からなかった。
 ただ、分かるのは、さきちゃんは私と触れ合おうと思ってくれて、私を選んでくれたことだけ。どんな理由があったとしても選ばれたのは私だったから。私も、さきちゃんになら何をされても良かったから、ずっとこの時間を待ち望んでいた。

 さきちゃんと最初に触れ合おうとなったとき、こんなことを聞かれた。
「初音はどうしたいのですか。どう、されたいのですか」
 そんなふうに聞かれた私は、急には応えられなくて口をつぐんで、ただ黙り込んでしまう。なんて答えればいいのか、乏しいとも言えないくらい経験に欠ける私には、あまりにも難問だった。
 だからか、さきちゃんから私に触れてきて、身構える前に口づけられて、瞬く間に押し倒されて、あっさりと組み敷かれて。

2: にじげん!デイリーそうだねx7
 最初は、触れ方を知っている、みたいな手つきに戸惑ってしまった。さきちゃんは他の誰かにもこんなふうに触れたことがあるのかな。それとも触れられた側なの? そんなことも知らなくて、知りたくなくて。

「……っ、初音」
 でも、今は関係ない。今のさきちゃんは私しか見ていないから、私だけがさきちゃんを独り占めしてるから、だからどうでもいい。
 私に負けないくらい火照ったさきちゃんを見上げて、私しか映っていない瞳に満たされて、もっと深く感じたいと腕を回して抱きしめる。
 背中に擦れる柔らかな布団の生地、さきちゃんの肩越しに見えるロフトの近い天井。それが今の幸せの形だった。
「さき、ちゃん……っ」
 さきちゃんの綺麗な肌に爪を立ててしまわないように気をつけないと、って余裕のない頭で考えながら、さきちゃんに捧げてしまいたいこの身を、余すことなく委ねた。

続きを読む

続きを見る(外部サイト)

アニメ・漫画カテゴリの最新記事