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【バンドリ!】「来てくださってありがとうございます」
にじげん!デイリーそうだねx14
RiNGでの復活ライブから数日後。
ウミコに呼び出されて来た喫茶店で、頬杖をついてウミコを見ていた。あたしの隣にはじっと座るムーコ。
なぜこの場に来てしまったのか、もうすでにちょっと後悔していて。
「もったいぶらないで本題入ってほしいんだけど〜」
「わかりました。実はこちらを始めたく」
スッと机に出されたウミコのスマホ。あたしとムーコは画面を覗き込んで、それからウミコの顔を見る。
「ムジカのSNSアカウントです。事務所が用意していたものではなく、私が用意したものです」
と言っても、まだIDを取得しただけですが。そう言う通り、画面に映るのはまっさらなページで。
ちらりとムーコを横目で見たけど、特になんとも思ってなさそうな…いや、キョトンとしてるだけかも。SNSとかやったことなさそうだし。
「事務所のサポートを受けられない以上、今後はただ活動に専念していくだけでなく、私達で発信していかなければいけません」
まあ一理ある。ライブハウス側に宣伝を任せているだけでは先細るし、なによりそれは怠慢だ。
元の知名度って下駄がある今、手を打つのは間違っていない。
ウミコに呼び出されて来た喫茶店で、頬杖をついてウミコを見ていた。あたしの隣にはじっと座るムーコ。
なぜこの場に来てしまったのか、もうすでにちょっと後悔していて。
「もったいぶらないで本題入ってほしいんだけど〜」
「わかりました。実はこちらを始めたく」
スッと机に出されたウミコのスマホ。あたしとムーコは画面を覗き込んで、それからウミコの顔を見る。
「ムジカのSNSアカウントです。事務所が用意していたものではなく、私が用意したものです」
と言っても、まだIDを取得しただけですが。そう言う通り、画面に映るのはまっさらなページで。
ちらりとムーコを横目で見たけど、特になんとも思ってなさそうな…いや、キョトンとしてるだけかも。SNSとかやったことなさそうだし。
「事務所のサポートを受けられない以上、今後はただ活動に専念していくだけでなく、私達で発信していかなければいけません」
まあ一理ある。ライブハウス側に宣伝を任せているだけでは先細るし、なによりそれは怠慢だ。
元の知名度って下駄がある今、手を打つのは間違っていない。
1: にじげん!デイリーそうだねx9
「考えは分かるけど。これサキコに聞いたほうがいいやつでしょ」
「もちろんです。ですが提案する前に全員から了承を貰っておきたく」
「根回しご苦労さま」
ひらひらと手を振るあたしにムッとした様子もなく、ウミコはスマホを操作してあたし達に再び見せる。
「こういう風に運用して行きたいんです」
「あっ…」
誰?ってあたしとは違って、ムーコが小さく声を上げる。
@mygo_itumo…?
ライブ会場や楽器、食べ物だったり人だったり、とりとめのない写真。投稿した人にとっては大切で、けれど他の人にとってはどうでもいい、そんな写真が並んでいる。よくあるバンドのアカって感じでピンとこない。
「ムーコの知り合い?」
こくりと頷く。てことは多分ウミコの知り合いでもあって。そりゃこの場であたしだけ響かないわけだわ。
「無いでしょ。あたし達がこういう風になるのは。宣伝にもなってないし」
納得したうえであたしはNOを突きつける。
ムジカって世界観を作るためにもこんなあやふやな運用は認められない。サキコだって同じことを言うはず。
人形達に日常なんていりませんわ。なんて言いそうだなと考えてしまって、眉間にシワが寄る。
「もちろんです。ですが提案する前に全員から了承を貰っておきたく」
「根回しご苦労さま」
ひらひらと手を振るあたしにムッとした様子もなく、ウミコはスマホを操作してあたし達に再び見せる。
「こういう風に運用して行きたいんです」
「あっ…」
誰?ってあたしとは違って、ムーコが小さく声を上げる。
@mygo_itumo…?
ライブ会場や楽器、食べ物だったり人だったり、とりとめのない写真。投稿した人にとっては大切で、けれど他の人にとってはどうでもいい、そんな写真が並んでいる。よくあるバンドのアカって感じでピンとこない。
「ムーコの知り合い?」
こくりと頷く。てことは多分ウミコの知り合いでもあって。そりゃこの場であたしだけ響かないわけだわ。
「無いでしょ。あたし達がこういう風になるのは。宣伝にもなってないし」
納得したうえであたしはNOを突きつける。
ムジカって世界観を作るためにもこんなあやふやな運用は認められない。サキコだって同じことを言うはず。
人形達に日常なんていりませんわ。なんて言いそうだなと考えてしまって、眉間にシワが寄る。
2: にじげん!デイリーそうだねx9
「今後、旅行や遠征に言った際、取った写真を投稿していきたいじゃないですか」
「…あたしらで旅行行くことなんてある?」
今、一ミリも想像できない。仲良しこよしがしたくてバンドしてるわけじゃないし。
けどウミコはあたしの冷たい視線にたじろいた様子もなく。むしろ熱がこもったキリッとした顔で返してくる。顔はよかけん、こぎゃん時こすかね。
「何気ない、宣伝になっていない写真でもいいと思うんです。そうした積み重ねがバンドの信頼になっていくはずです」
「じゃあうみこのアカウントでそういうの投稿すれば〜」
「私一人では駄目なんです。全員で共有して使っていきたいんです」
「…ウミコさ、あたし達に駄々こねている状態なの分かってる?」
気持ちと行動が先走ってる。ウミコには見えてるヴィジョンが、あたしには全然伝わってこない。
なのに。
「…私は…してみたい…」
「マジ!?」「若葉さん…!」
ムーコが陥落した。信じられん。もう帰ろうと思っていたあたしの気持ちは吹き飛んでしまった。
どうしてこうも簡単にムーコはあたしの心をかき乱すんだろう。
「ムーコも…仲良し、やっていきたいって思ってるわけ?」
「…あたしらで旅行行くことなんてある?」
今、一ミリも想像できない。仲良しこよしがしたくてバンドしてるわけじゃないし。
けどウミコはあたしの冷たい視線にたじろいた様子もなく。むしろ熱がこもったキリッとした顔で返してくる。顔はよかけん、こぎゃん時こすかね。
「何気ない、宣伝になっていない写真でもいいと思うんです。そうした積み重ねがバンドの信頼になっていくはずです」
「じゃあうみこのアカウントでそういうの投稿すれば〜」
「私一人では駄目なんです。全員で共有して使っていきたいんです」
「…ウミコさ、あたし達に駄々こねている状態なの分かってる?」
気持ちと行動が先走ってる。ウミコには見えてるヴィジョンが、あたしには全然伝わってこない。
なのに。
「…私は…してみたい…」
「マジ!?」「若葉さん…!」
ムーコが陥落した。信じられん。もう帰ろうと思っていたあたしの気持ちは吹き飛んでしまった。
どうしてこうも簡単にムーコはあたしの心をかき乱すんだろう。
「ムーコも…仲良し、やっていきたいって思ってるわけ?」