【ウマ娘】「愛が足りない…」

【ウマ娘】「愛が足りない…」

【ウマ娘】「愛が足りない…」

にじげん!デイリーそうだねx5
ある日の夜。そうボソッと呟いたアヤベはベッドの上で尻を天井に突き出し、うつ伏せのままふわふわの枕に身を預けるという何とも言えない姿勢を取っていた。そのカワイさの欠片も感じない姿に、ついつい反応してしまうのはカワイイの伝道者故の性。
「いや、そんなカワイくない格好して何言ってるんですか」
枕に埋めていた顔を90度だけ動かし、カレンの方へ向けたアヤベは悲しげな目をしていた。そしてあいも変わらず天井に尻を向けていた。
「あの人からの愛が足りないのよ…」
「えーと、つまり…アヤベさんはもっとトレーナーさんに満足のいくまで構って貰いたい、そういうことで合ってます?」
「えぇ、そうよ」
三年間、この癖の強い姉貴分の面倒を見てきたカレンチャン。少ない言葉でも言わんとすることは何となく分かる。意図を察して貰えて嬉しかった姉貴分は天井に向けられた尻の先で尻尾をフリフリと揺らした。
「そうですか…!」
「何で嬉しそうなのよ」

【ウマ娘】「愛が足りない…」|にじげん!デイリー

1: にじげん!デイリーそうだねx1
不満を喜ばれてアヤベが眉間に皺を寄せる。が、カレンからすればあの自己表現が苦手で欲も不満も全て溜め込んでしまうアヤベが、こんなにもハッキリと自身の不満を吐露してくれたことがとても嬉しかった。これも三年間の成長の賜物である。が、それはそれとして。
「そのカワイくない格好は何なんです?」
「これ?これはこの枕のふわふわ感を最大限享受する為に最も適した姿勢よ」
「カワイくないですよそれ。やめましょうよ」
「別に…貴女と違って四六時中カワイさを追求してる訳ではないもの。今はこのふわふわで傷付いた心を癒すのが大事よ」
「トレーナーさんに写メ送っちゃお」
「やめなさい。叩くわよ」
「お尻を突き出したまま凄まれても…」
睨まれても格好が格好だからかあまり迫力は無かった。
2: にじげん!デイリー
「で、アヤベさんは何が不満だったんです?」
アヤベが好きだから!とまで言い放った彼女のトレーナー。正にベタ惚れといった感じで、アヤベが望むこと、アヤベのためになることは何でもやった。そんな彼がアヤベに注ぐ愛が不足しているとは思えなかった。
「プラネタリウムに誘ったら断られたのよ」
「へ?」
「プラネタリウムに誘ったらその日は用があるからって断られたのよ」
「そ、それだけですか…?」
「それだけ?私は今週末はあの人と一緒に過ごす気満々だったのよ?」
「OK貰ってから満々になってくださいよ。断られるとは思わなかったんですか?」
「…今まで断られたことなんてなかったもの」
「あーーー!いいなーーー!!羨ましいなーーー!!!」
「どうしたの急に」
カレンチャンのトレーナー、通称お兄ちゃん。彼女のことは大事に思ってるし最大級の愛を注いではいるものの、それはそれとして担当ウマ娘と担当トレーナーとの線引きには他よりちょっと厳しかった。
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