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「ファシズムから祖国を救うために」 アメリカはいよいよ異常事態に…ニューヨークの「1万人の反トランプデモ」で起きた「異変」
■ファシズムとクーデターを止めなければ
「私はこの政権がもたらすクーデターとファシズムに抵抗するために、今日このデモに参加した」
そう語ったのは、大学生の女性ジェスさんだ。
近くにいた40代の女性ローレルさんも「ファシズムから祖国を救うために来た」と力のこもった声で話した。
2月17日の月曜日、アメリカは初代アメリカ大統領のワシントンの誕生日を祝うPresident Dayの祝日だった。
この日に合わせて「Not My President(あなたは私の大統領ではない)」と銘打ち、全米で同時に、トランプ政権に対する抗議行動が行われた。
抗議行動が行われた州には、テキサス州、フロリダ州などトランプ支持が強い州も含まれる。
ニューヨークには1万人が集まった。
ダウンタウンのユニオンスクエアをぎっしり埋めた人々が持つ手作りのプラカードの中でも、目立ったのは「クーデターを止めろ」「ファシズムは許さない」などの文字だ。
トランプ政権が誕生して以来、イーロン・マスク率いる政府効率化省が、国防総省から司法省まであらゆる政府組織の解体を始めている。
150兆円の予算削減、20万人の解雇を目指しているが、ただの予算削減にはとても見えない。
国際開発庁(USAID)の劇的な縮小から始まった解体は全ての省庁に及び、航空管制官や、核兵器や伝染病の専門家など重要な職についている者も解雇されている。
そんな大それたことを、トランプ氏に指名されただけで議会の了解も得ていない、いち個人のマスクがやっていることに対し、批判と怒りが高まっている。
またトランプは国防総省から司法省まであらゆるトップの首を全て、自分に忠実な人物にすげ変えている。
また司法省は傘下のFBIから、2021年1月の議会襲撃の捜査に関わった多くの捜査員を解雇した。
今後はトランプの政敵の訴追に踏み出すのではないかとの警戒感も高まっている。
またトランプが出した「連邦政府の独立機関の自治権を撤廃する」との大統領令も、政府を私物化し独裁に向けた一歩ではないかと危ぶむ声も小さくない。
ニューヨークでのデモに参加した、前出のローレルさんはこう怒りを露わにする。
「クーデターが軍事的なものとは限らない。アメリカは内部から破壊されている」
デモ行進での「クーデターを止めろ」「マスクはすぐにやめろ」のシュプレヒコールからも、多くがそれに賛同しているのがよくわかった。
■デモ隊は白人ばかり
デモ隊と一緒に歩きながら、奇妙な事実に気づいた。
参加者の99%が白人なのだ。
この街は「人種のるつぼ」と言われる「多様性の街」で、こんな白人ばかりのデモは見たことがない。
「私の黒人の友人たちは怖がって参加したくないと言った。嫌がらせやハラスメントがあるのではないかと心配していて。だから私が代表で来た」
そう話してくれたのは60代の白人女性カレンさんだ。
去年11月の大統領選をきっかけに、ニューヨークにもトランプ支持者が思ったより多いことを、リベラルなニューヨーカーも意識するようになった。
また白人至上主義者やネオナチの動きも活発になっている。
筆者はワシントンで行われたトランプ大統領の就任式当日に、ファシスト集団で白人至上主義者の準軍事的組織プラウド・ボーイズのデモに遭遇した。
※略