「どうして中国に来ないんだ！」習近平氏が激怒、石破総理の冬季アジア大会不参加事件

そんな中、習近平主席は、彭麗媛夫人を伴って、黒竜江省の省都・ハルビンに飛んだ。2月7日夜の冬季アジア大会開会式で、開会を宣言するためだ。最新IT技術を駆使したド派手な演出を行い、CCTV(中国中央テレビ)が全国に生中継した。

この開会式に習近平は、各国からVIPを集めた。IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を始め、ブルネイのハサナル・ボルキア国王、パキスタンのアスィフ・ザルダリ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タイのペートンタン・中国ワット首相、韓国の禹元植国会議長。

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■「決して弱みは見せない」という大原則

これらすべての宣言が、トランプ大統領に対する強烈なアンチテーゼであることは言うまでもない。アメリカと違って、中国はアジアのことを考え、アジアに平和と安定をもたらすというわけだ。実際、この日も習近平主席は終始、笑顔を振りまいていた。

この宣言を号砲とするかのように、新たな米中貿易戦争が勃発した。まずトランプ政権が中国からの輸入品に対して、一律10％の追加関税をかけた。すると中国も10日から報復関税を実施。アメリカ産の石炭やLNG(液化天然ガス)に15％、原油や農業用機械・排気量の大きい自動車などに10％の追加関税を上乗せしたのだ。4日からは、タングステン(レアメタルの一種)など5種類の輸出規制も発表していた。

北京で中国政府関係者が明かした。

「貿易戦争や関税戦争に勝者はいない。それにもかかわらず、アメリカがわが国に追加関税をかけてきたのだから、報復するのは当然のことだ。今後、アメリカ側の出方によっては、大豆・とうもろこし・牛肉などの農産物にも追加関税をかける覚悟だ。最後には、保有しているアメリカ国債を大量に売却するという奥の手もある。『瘋子』には、決して弱みを見せてはならないというのが、わが方の基本原則だ」

当初、中国側が懸念していたのは、3月5日から1週間ほどの期間で予定している全国人民代表大会(全人代)に、トランプ政権が追加関税をぶつけてくることだった。それが約1ヵ月早まったことは、中国にとって不幸中の幸いとも言えた。

年に一度開かれる全国人民代表大会の時節には、中国全土から約3000人の代表(国会議員)や地方幹部らが、北京にやってくる。その期間中に、トランプ政権が中国に多額の関税を発動したら、習近平政権が動揺するのは必至だからだ。

■習近平の面子をつぶした石破総理

中国政府関係者が続ける。

「トランプは今後、中国だけを標的にした追加関税の発動を控えるに違いない。なぜなら、ウクライナ戦争とガザ紛争という二つの争いを終結に導くには、中国の協力が必要だからだ。無理に物事を進めようとすれば、アメリカは自然と崩壊へ向かう。まもなく、トランプと習主席の電話会談が開かれるだろうが、外交で主導権を握っているのは中国なのでじっくり出方をうかがい、対策を練ればいい」

全人代まで約1カ月の余裕がある。習近平率いる大国は、十全な対策を練って、アメリカとの「対話」に臨むだろう。トランプ大統領との第二ラウンドに臨む習近平は、意外にも自信に満ちているのだ―。

ところで、先の冬季アジア大会の開会式に、招待されていたが姿を見せなかったVIPがいた。日本の石破茂首相である。

昨年のクリスマス、12月25日の北京・釣魚台国賓館。訪中した岩屋毅外相と向かい合った王毅外相は、作り笑いを浮かべながら切り出した。

「来年(’25年)の2月7日から14日まで、わが国の北部黒竜江省の美しい都市ハルビンで、冬季アジア大会を開く。習近平主席が開会宣言をされ、アジアのVIPたちも、大勢参加する。この席に、石破首相も招待したい。習主席と並んで開会式を観覧されてはどうか」

■メンツを潰された習近平はどう動く

岩屋外相は、招待に礼を伝えながらも、「(石破)総理に報告して返事を申し上げます」と答えた。だが、岩屋外相の帰国後、アメリカからの強烈なプレッシャーに見舞われた。特に、1月20日に発足するトランプ政権の関係者たちの反発は大きかった。

結局、トランプ政権は、アジア大会開会式と同じ2月7日の日米首脳会談開催を石破政権に迫ってきた。これが何を意味するのかは一目瞭然だった。

中国側の毒づく声が聞こえてくる。

「トランプが『瘋子』なら、石破はその『跟班』(付き人)だ。アメリカに平伏す日本の姿は、とても独立国家には見えない」

訪中よりも訪米を優先され、面子をつぶされた習近平。態度を豹変させ、いきなり日本に強硬な態度で臨んでくるかもしれない。

全文はソース先で

週刊現代 2025.02.25
https://gendai.media/articles/-/146986