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「日本が嫌なら…」…ネット上で“外国人観光客排斥論”が増える背景にある「江戸時代の国民性」
https://dot.asahi.com/articles/-/250719?page=1
2025/02/20/ 06:30
目次
2ページ ・外国人排斥に潜む“被害者意識”
3ページ ・幕末の日本人のように、海外での実体験に乏しい」
近年、SNSなどで外国人に対して排斥的な言説が目立っていると感じる人は少なくないだろう。代表的なのは埼玉県川口市のクルド人問題だが、それだけなく、日本を訪れている外国人観光客に対する暴言もネット上で氾濫している。試しにXで「外国人観光客」を検索してみると、「今すぐに出て行け」などの過激な投稿が次から次へと表示される。
【写真】インバウンド客の影響で伐採された「北海道のシラカバ並木」
https://dot.asahi.com/articles/photo/249040?pid=a1b4403f81ba910b2a50404fa2e822cb460828
それを原文のまま紹介するのは控えるが、ニュアンスだけを要約してみると、以下のような具合だ。
「日本は外国人観光客がいなくてもなんとでもなる。無礼な奴は母国に帰れ」
「外国人観光客は日本を観光でしか経済が成り立たない発展途上国だと見下している」
「主要駅は横柄な外国人観光客ばかりなので家から出られない」
「観光地はマナーの悪い外国人だらけで、日本人観光客には迷惑。行列に並ばず横入りしたり食事中も店内を大きな声で喋りながらウロウロ歩き回って写真を撮りまくったり、路上喫煙やゴミのポイ捨ても目立つ」
オランダの政治学者であるカレル・ヴァン・ウォルフレンが1994年に出版した『人間を幸福にしない日本というシステム』が33万部のベストセラーになるなど、昭和の日本人は外国人、特に欧米人による批判的な“日本論”に耳を傾け、我が身を省みる傾向があった。
ところが現在は、外国人観光客が「もっと日本で英語を話す人が増えれば、もっと観光が楽しくなる」と提言したことがニュースになるだけで、たちまちSNSには「日本に文句があるなら旅行を中止して国に帰れ」といった批判が殺到してしまう。なぜ、これほどまで外国人観光客に対して排斥的な言説が増えているのか。“ネット論壇”に詳しい編集者が言う。
「アメリカの文化人類学者であるルース・ベネディクトが執筆した『菊と刀』は1946年に出版され、外国人による日本人論の嚆矢(こうし)として高く評価されました。以来、欧米人による日本人論は人気を呼び、実は日本人が執筆したとのうわさが流れたものさえありました。その一方で『脱亜入欧』という言葉がありますが、日本人と同じアジア人、特に中国人や韓国人の日本批判には耳を貸さない傾向もありました。ところが最近のSNSを見ると、欧米人でもアジア人でも、外国人観光客が日本に否定的な指摘を行うと、国籍を問わず一律に炎上する傾向が認められます」
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顕著になった“渋谷のニセコ化”
https://dot.asahi.com/articles/-/250719?page=2
(略)
※全文はソースで。