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“おでん”という日本語を使うのは正しいのか…初開催の「赤いおでん祝祭」の名称、韓国で議論に
一部から、なぜ「おでん」という日本語を使うのかという声があるのだ。「おでん」ではなく、「オムク」という韓国語を使うのが適切だという主張だ。
そもそも堤川の「赤いおでん」は、串に刺した具材を赤いスープに並べて入れ、味が均一に染み込むように煮詰めて作られる。柔らかく弾力のある魚のすり身と、旨味のあるスープが絶妙に調和するのが「赤いおでん」の特徴だという。
堤川市庁によると、「赤いおでん」は商標登録されている名称で、この名前を冠した軽食店は堤川市内だけで30店舗以上に上るそうだ。
「おでん」と「オムク」は別物。だが…
オンライン上で名称が議論になっているが、辞書的な意味で考えると、「おでん」と「オムク」は異なるものであり、「おでん」の代わりに「オムク」を使うのは適切とはいえない。
「オムク」は、チクワのような魚の練り物を意味するからだ。一方で「おでん」は、大根や卵、油揚げなど様々な具材がスープに入れられる料理名だ。つまり「オムク」は、「おでん」の具のひとつという認識でいいだろう。
「オムク」の起源は中国だが、韓国では朝鮮王朝時代に記録が残されている。1719年に編纂された『進宴儀軌』に、魚の骨や皮を取り除いてすり潰し、調味料や野菜を混ぜて丸める調理法が記されているのだ。
このように「おでん」と「オムク」は本来まったく異なるものであり、それぞれの起源や意味も明確といえる。しかし、そうなると辻褄が合わなくなるのが、冒頭で触れた堤川市の「赤いおでん」だ。
串に刺して赤いスープに浸しているのは、明らかに「オムク」であり、本来の意味での「おでん」とはいえない。「赤いオムク」と呼ぶのが妥当だが、商標登録されている名称であり、今さら変更するわけにもいかないだろう。
こういった混同は、珍しくない。韓国メディア『週刊朝鮮』は「冬の温かい癒し、オムクの長く長い歴史」という記事で、「オムクは日本統治時代に日本から伝わった食べ物であり、当初は“おでん”と呼ばれていたが、その後“オムク”という純化された言葉が作られたことは、多くの読者がご存じだろう」と紹介している。
それを踏まえると、「オムク」という言葉は、「おでん」を含む広い意味で使われている可能性がある。
なお「堤川赤いおでん祝祭」は、堤川駅の広場一帯で2月28日から3月3日まで開催される予定だ。
(文=サーチコリアニュース編集部O)