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大学受験シーズンに体育のサッカーで怪我 「推薦組が一般組を攻撃した」という陰謀論にまで拡大…ママ友ネットワークにも噂が飛び散る
校庭での些細な接触プレーが
高校3年生の冬、受験戦争が佳境に突入する中、受験会場以外でも熱いバトルが繰り広げられていました。この日の体育の授業はサッカー。部活を引退し、受験勉強に集中する中での数少ない息抜きの時間です。
試合が白熱する中、元サッカー部でH大学に指定校推薦が決まっているAくんがゴールへ突進!「俺はもう受験が終わったぜ」と言わんばかりのプレーに、これから共通テストと一般入試の大一番を控える元物理部のBくんが必死に応戦。接触の末、二人はその場に転倒しましたが、すぐに立ち上がり試合は何事もなく続行されました。
しかし、この接触プレーでBくんは足を痛めてしまい、翌日整形外科を受診。Bくんが病院に行ったことを知っていたのは当初Bくんの一部の友人だけだったのですが、その後、思わぬ形で学校内に波紋を広げることになります。
「推薦組が一般組を攻撃」という陰謀論に拡大
「AくんがBくんを怪我させた」という話はすぐに「推薦組が一般組を攻撃した」という陰謀論にまで拡大。LINEのグループチャットや親たちのネットワークを通じて、噂は瞬く間に拡散されました。「H大に推薦で決まっているサッカー部の子って誰?」「一般入試組の子は国立志望らしいよ!」「一般入試でこれからって時にBくんかわいそう!」と、話はどんどん尾ひれがついていきます。ついにはママ友ネットワークにまで噂が飛び散り、保護者たちの過激な憶測へとつながっていくのです。
情報はAくんの母、Sさんの耳にも届くこととなります。「H大に推薦が決まってるサッカー部ってうちの子しかいないよね?」本人に問い詰めると、「わざとじゃないし、軽く接触はしたけど、Bくんが通院したことは知らなかった」とのこと。それでもBくんが怪我をした事実を重く受け止め、SさんはBくんの母親に謝罪の電話をかけました。
するとBくんの母親は「お互い様ですから、謝罪は不要です。それより、噂がこんなに広がっているんですね…」と驚いている様子。噂話が当事者を超えて大きくなってしまったことに、保護者たちは困惑していました。
校内サッカーよりも激しい「受験嫉妬ゲーム」
今回の事件の背景には、受験生の間にある「指定校推薦」という制度に対する根深い感情が潜んでいます。「推薦組は楽してる」という偏見や、「一般入試の方が努力していて偉い」みたいな謎のヒエラルキーが、無意識に子どもだけでなく親たちの心にも影響を与えているのではないでしょうか。
確かに、推薦組は既に進路が決まり一安心している一方で、一般組はまだまだ試練の真っ只中。この差が、些細な出来事を大きな対立構造に発展させる引き金になりました。
受験シーズンは、子どもたちの人生の中でも最大級の緊張が漂う一大イベント。ですが、それを支える大人たちまでヒートアップしてしまうと、子どもたちにもさらに余計なストレスを与えてしまいます。噂話や偏見に左右されるのではなく、正しい情報と冷静な態度で乗り越えたいものです。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
https://maidonanews.jp/article/15601078
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