あわせて読みたい
【Money1】 韓国「企業が利益を減らす倍の速度」で給与が上がる。「おしまい」の構造
「韓国の労働所得分配率上昇のミクロ構造分析」(The Micro-Level Anatomy of Korea’s Rising Labor Share)という論文ですが、非常に興味深い内容だからです。
また、韓国ウォッチャーならスグに「文在寅のおかげ(せい)だよね」と分かります。
・韓国に起こったクリティカルな変化
注目しているのは「労働所得分配率」という指標です。
被用者報酬比率ともいいますが、「企業の総利益に対して従業員の給与が占める割合」を示します。
他国では、この労働所得分配率は下がっているのに、韓国では2000年代以降、急速に上昇しているのです。
韓国の労働所得分配率
2000年:57.5%
2023年:67.7%
データ出典:『韓国銀行』
10%ポイント以上も上昇しています。韓国ウォッチャーなら原因はすぐピンときますね。
あの借金王・文在寅が、「所得主導経済」なるお花畑の妄想を基に、無理やりに最低賃金を引き上げた結果です。
文在寅は自身の任期内に最低時給1万ウォン達成を公約としていましたが、それは不可能でした。2018年に一気に16.4%も上昇させ、景気に冷水を浴びせ掛けたためです。
労働所得分配率の一方で、注意しなければならないのは、企業の利益構造がどうなったのか?――です。
利益を労働者に分配する率が上がったのですから、当然の帰結として、企業の利益は減ります。
オ教授は以下のように提示しています。
韓国内企業の営業利益率
2013年:4.14%
2023年:3.48%
(10年間で約15.9%減少)
しかるに、労働者の賃金は大幅に上昇しています。
月平均給与
2013年:262万ウォン
2023年:364万ウォン
(10年間で39%上昇)
これはつまり、企業が利益を増やす速度よりも、給与の上昇速度のほうが2倍以上速いことを意味しています。
企業が利益を減少させ、その代わりに労働者の給与を増やしたのです。つまり、文在寅の狙いどおり、企業を弱体化させて、労働者の取り分を2倍の速度で増加させるという、極めて社会主義的な「実験を行った」わけです。
・企業の利益が減少し、結局は……
しかし、世界中の経済学者が「ばかじゃねーの」といったとおり、「所得主導経済」なんてものは妄想に過ぎず、常識の逆サイクルを企図するものでした。
逆は起こりませんでした。
企業が儲けなければ社員の給料は増えません、社員の給料を先に増やしてどうなったかといえば――、
大企業以外は雇用が著しく減少して、文在寅が引いた「最低賃金を上昇させる路線」から後続政権も抜け出すことができず――結果、今も韓国経済はどん底です。
これは、文在寅のばかが社会主義的な政策を推進し、企業の収益性を削いだからです。
収益性が下がると何が起こるかというと、集中した投資が行えなくなります。利益が集中する企業が登場すると、確かに不公正なように見えるかもしれませんが、その利益の集中が投資の集中を生み、新たな技術革新、競争力を推進するのです。
つまり、文在寅のばかが行った政策は、『サムスン電子』の総帥を牢屋に入れるだけではなく、
収益性を削いで新たな競争力を生むための投資をも蒸発させたのです。
今になって超格差技術なんて唱えても、お話になりません。
オ教授は、「企業の収益性低下と、イノベーションを起こすスーパー企業の不在が原因で、韓国経済全体の利益に悪影響を及ぼす可能性がある」と述べています。
このままの状況が続けば、
・企業の成長が鈍化し、投資が減少
・新しい雇用の創出が難しくなる
・経済全体の競争力が低下する可能性
が懸念される――と。
教授自身が理解していらっしゃるでしょうが、可能性がある――ではありません。もう遅いのです。取り返しがつきません。
ー後略ー
全文はソースから
(吉田ハンチング@dcp)
2025.02.04
https://money1.jp/archives/142909