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戒厳令宣布は憲法が定める大統領の固有権限
昨年12月3日深夜、韓国の尹錫悦大統領が非常戒厳令を発令したとき、多くの人々は尹氏の政治的命運が尽きたかのように感じていた。反抗的な野党議員を抑え込む以外に明確な理由が見当たらない状況での戒厳令は、単なる過剰反応にしか見えなかったからだ。
筆者も、戒厳令が憲法違反にあたるかどうかについての判断は保留しつつ、他の政治的手段を尽くさずに軍を投入したことは、重大な判断ミスであったとのコラムを12月7日に執筆した。そこでは、たとえ尹大統領が弾劾裁判で職を守ったとしても、任期終了までレームダックの状態に陥りかねないと主張した。
ただ、当時も今も変わらない本質的な事実が一つある。戒厳令宣布は国家の最高統帥権者の裁量に基づく、極めて政治的な問題であるということだ。12月3日に尹大統領が戒厳令を発した時、彼は現職の大統領としてその決断を下していた。戒厳令宣布は憲法が定める大統領の固有権限であり、この点において広範な憲法論争が展開される余地はそもそもなかった。
戦時やそれに準ずる事態が存在しない中での戒厳令が重大な違憲行為、すなわち弾劾事由に該当するかどうかは、憲法裁判所が判断すべき問題である。同様に、野党が主張するように12・3戒厳令が内乱罪に該当するか否かは、刑事裁判所が審理すべきことだ。
尹大統領を逮捕した公捜処は管轄権を持っていない
その観点から、今回の戒厳令自体は韓国の法律に基づいて解決が可能であり、本来ならばそのように進めるべきだった。しかし、政府側に敵対的な立場を取る反対勢力、特に第一野党の「共に民主党」と尹大統領を捜査する捜査機関は、その流れを大きく変えてしまった。
まず、内乱罪容疑で現職大統領の逮捕を行った高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の話から始めよう。一度目の逮捕令状執行に失敗した後、1月15日、ソウル西部地方法院が発給した二度目の令状により、公捜処は尹大統領の身柄を拘束した。そして、4日後には同法院が尹大統領に対する拘束令状を発給し、拘束期間をさらに延長した。
現職大統領の逮捕は韓国史上前例がないことはもちろん、そもそも令状自体が違法であると言わざるを得ない。
何より、公捜処は大統領を内乱容疑で捜査・起訴する管轄権を持っていない。公捜処自らのガイドラインでも、管轄は主に裁判官、検察官、高位警察官などの汚職や職権乱用に限定されており、内乱容疑に関しては全く適用されない。
この捜査機関は、2021年に文在寅(ムン・ジェイン)政権下で創設され、左派勢力が一般的に威圧的とみなしていた検察を抑制し、その権力を分散させるために無理に設立された。設立以来、これまでに起訴した事件はわずか5件に過ぎず、まともな捜査経験を持つ検察もほとんどいない未熟な機関なのだ。
公捜処の無理筋な論理を容認した裁判所
しかし、現職大統領を取り巻く「世紀の事件」を巡り、他の捜査機関との縄張り争いで優位に立つため、公捜処は、大統領の職権乱用を調査する権利があり、内乱罪はその延長線上にあるという無理な論理を振りかざしたのだ。現職大統領は憲法上、刑事訴追免除権を有しており、そもそも内乱罪や外患誘致罪以外では刑事訴追を受けない。言い換えれば、公捜処は逮捕執行前に尹大統領を内乱罪で有罪と断定し、その推定有罪を根拠に、現職大統領に対する捜査管轄権を独断的に拡大したのだ。
驚くべきことに、裁判所はこの無理筋な論理を容認した。刑事訴訟法第110条と第111条を公然と無視し、公捜処が事件の管轄を持つ理由について一切説明することなく、二人の裁判官が逮捕状を発行し、一人の裁判官が拘束令状を出したのだ。
さらに、1月15日の第二次逮捕令状執行時、捜査当局による違法行為に関する報道がなされている。前述の刑事訴訟法によれば、大統領官邸は軍事機密の領域に属し、その立ち入りや捜索には責任者の同意が必要とされている。この場合、責任者は大統領警護庁長官である。だが、捜査当局は大統領官邸の警備団長に圧力をかけ、内部進入を許可させたと報じられている。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/ed153855a3f5b126d92aa7749ff92a3b7d51dbe9?page=1