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【社会】このままでは”未婚率70%”の時代が訪れる…ここ10年で「中間層」が結婚できなくなった事こそが少子化の最大の要因
(中略)
私は、常々「恋愛強者3割の法則」と述べています。これは、令和の若者が特に恋愛離れしたのではなく、少なくとも1980年代から40年間終始一貫しています(中略)
一方で、資本主義社会としては経済的に裕福な層とそうでない層とを分けてしまうことになります。いわば、経済強者と経済弱者を生み出します。
「強者と弱者」という二極で語られがちですが、実際には強者以外がすべて弱者なのではなく、真ん中に中間層というものが存在します。
恋愛強者3割と言いましたが、7割が弱者なのではなく、中間層4割、弱者3割という構成になります。経済的にも、富裕層と貧困層しかいないのではなく、真ん中に中間層が存在し、人口的にはもっとも多い。強者と弱者の格差や弱者救済という面ばかりがフォーカスされがちですが、実は今起きていることは中間層の崩壊です。
■つい10年前は年収300万円台で結婚できていた
昨今の少子化の原因はほぼ婚姻減に尽きるのですが、婚姻数が減少しているのはすべて年収中間層です。結婚は持続的に運営される生活ですから、経済力は重要です。そのあたり女性は現実的で、2021年の出生動向基本調査においても、結婚相手として重視・考慮する項目で「男性の経済力」は91.6%です。
しかも、女性の場合は、「自分より収入の高い男を選ぶ」という上方婚志向があり、2022年の就業構造基本調査から、結婚してまだ子のいない20代夫婦のそれぞれの年収構造を分析すると、女性の上方婚7割、同額婚2割、女性の下方婚(女性の方が男性より年収が高い)はわずか1割です。
逆にいえば、男性の場合経済力を高めれば結婚への道も開けるともいえるわけですが、ここもまた険しいものになっています。女性の大学進学率の上昇や社会進出によって、女性の稼ぐ力もあがっていますが、女性が自分より高年収の男性と結婚したいという前提になると、女性の年収があがればあがるほど、皮肉なことに結婚のハードルが高くなるからです。
(中略)
婚姻減といわれている中でも、経済強者は関係なく結婚し、子どもを産んでいるということになります。
(中略)
■日本の少子化は「中間層が結婚できない問題」である
明らかに、2003〜2013年までの10年間と2023年とではまったく違う軌跡を描いていることがわかります。2013年までは、世帯年収300万円台で5割が子どもを持つことができました。400万円台では6割を超えます。しかし、一転2023年になると、300万円台では24%、400万円台でも33%へとそれぞれ半減してしまっています。日本の婚姻減とは、まさにこの20〜30代の中間層が結婚およびそれに連動した出産ができなくなっている問題なのです
(中略)
少子化の最大の要因は婚姻減であり、婚姻減とはかつてボリューム層として婚姻・出産を支えてきた中間層の若者がそれをできなくなってしまったことによります
(中略)
今の少子化対策は、子育て支援偏重すぎて、すでに自力で結婚・出産した夫婦にはある程度の支援がいきわたる反面、「本当は結婚もしたいし、子どもも欲しいと願う経済的中間層がいつまでも結婚できないまま放置されている」という状況です。
皮肉にも、この事態を招いたのは子育て支援など出生インセンティブ政策の弊害でもあります。2008年の会計検査院が指摘したように、児童手当等現金給付を拡充しても新たな出生増にはつながらず、今いる子への投資に充てられる。そのため子育てコストのインフレを招き、それが結婚そのものの可能年収の高騰を生み、結果中間層の婚姻を減少せしめるというもので、実際その通りになっています。
初任給の賃上げのニュースもさかんにされており、それ自体喜ばしいことですが、それも結局3割の大企業社員という経済強者の話です。3割の強者の平均が全体基準であるかのようなイメージがより一層の心理的なインフレを生むのでしょう
(中略)
真の少子化対策とは、子育て支援でもなく、官製婚活などの出会い支援でもなく、まず、この20年間も年収が増えていない中間層以下の現状に向き合うことであり、そこへの経済対策です。少なくとも中間層なのに「お金がないので諦める」という心理に若者が追い込まれないようにしてあげることではないでしょうか。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/9a86f4a31be1612fe68061b2f9e9e14f5286757a?page=1