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【韓国】尿素水時限爆弾、残りは1~2カ月分…最悪時は「配達網崩壊」
中国発の尿素水品薄は業種にかかわらず産業界全般に影響を及ぼしている。2年前に日本が高純度フッ化水素の輸出を中断した当時の被害が半導体産業に限定されたのとは異なる状況だ。まず尻に火がついたのは宅配と流通業界だ。7日の業界によると、新型コロナウイルス流行の長期化で配達量が増えている宅配会社と流通会社は尿素水確保戦に死活をかけている。運送を担当する車両の相当数が軽油車であるため尿素水が不足する場合には配達網そのものが崩壊しかねないためだ。
◇流通業界、物流車両運行できなければ配送に支障
イーマートとロッテマートなど大型マートは現在1~2カ月は持ちこたえられる尿素水の在庫を確保しているという。だが品薄が長期化する場合、物流車両の運行は保証できず、配送大乱が発生する可能性が高い。大型マート関係者は「納品車両の5台に1台が尿素水を補充しなければならないユーロ6適用車両。尿素水不足が長期化する場合、配送日程を調整しなければならない」と話した。
◇自動車業界、軽油車の出庫遅延を懸念
自動車業界は尿素水の品薄にともなう生産への支障に備えている。すでに年初から半導体不足により生産への支障が出ているところに尿素水不足が重なるダブルパンチだ。自動車業界によると韓国の自動車メーカーはディーゼル車の出庫に必要な尿素水2カ月分程度を確保している。特にディーゼル車の場合、尿素水を満たした後に工場から出庫するため尿素水の品薄が続く場合には出庫のずれ込みを避けることはできない。
韓国自動車産業協会(KAMA)によると、毎月出庫される軽油車は今年基準3.3万台に達する。自動車業界関係者は「尿素水不足が続く場合、車両出庫だけでなく託送に問題が生じかねない。託送トラックが止まれば輸出にも支障が出る恐れがある」と話した。
自動車サービス網では尿素水不足が続いている。サービスセンターでも尿素水を補充できずにいるためだ。自動車部品業界関係者は「欧州などから尿素水を直接輸入する輸入車ブランドとは違い、尿素水を独自に確保して供給する国産自動車ブランドはサービスセンターですでに尿素水を適時に供給できず影響が出ている」と話した。
◇建設・鉄鋼業界も尿素水心配
建設と鉄鋼業界も尿素水の品薄状況を鋭意注視している。建設現場にも尿素水を補充しなければならない建設用機械が少なくないためだ。建設業界ではすでに「尿素水の品薄が長期化する場合、建設現場が止まるのではないか」という懸念が出ている。コンクリートを積み出すレミコン車両が代表的だ。レミコン業界関係者は「レミコン車両の2台に1台が尿素水を使用する車両。尿素水供給不足は10月に始まったが今月末には尿素水需給が厳しくなるものと認識している」と話した。
鉄鋼業界も二重に焦っている。鉄鋼材を運ぶ外注業者のトラック用尿素水と合わせて鉄鋼生産過程で必要な尿素水の需給も心配しなければならないためだ。ポスコなど鉄鋼業界は窒素酸化物低減に使う尿素水の在庫を1カ月分ほど確保した状態だ。鉄鋼業界関係者は「鉄鋼製造過程により尿素水とアンモニアが必要だ。アンモニアは在庫の余裕があるが尿素水は在庫が豊富ではない」と話した。
専門家らは中国政府を説得して輸入ルートを確保する一方、輸入先を多角化すべきと指摘する。大林(テリム)大学自動車学科のキム・ピルス教授は「自主的に尿素を生産して供給する欧州モデルに進まなければならない。中国政府を説得して輸入の道を開き、必要な場合には輸入先を多角化すべき」と話した。韓国貿易協会のキム・ギョンフン研究委員は「尿素など産業競争力と密接した品目のサプライチェーンリスク管理に向け国主導のコントロールタワー設置などを検討しなければならない」と強調した。
中央日報 2021.11.08 06:56
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