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【佐藤優氏】かなりヤバイ韓国情勢…法治国家でなくなりつつある現状を深刻に受け止める必要がある
しかし大統領警護処が「警護区域に対する捜索を許可しない」として阻止し、同日午後1時30分、令状執行は停止された。<合同捜査本部はこの日、尹大統領と対面することはなかった。尹大統領がいると推定される大統領官邸の建物から200メートルの距離に接近しただけだ。大統領官邸に向かう際、集会・デモをする約1万1000人、官邸のバリケードと鉄門を通過し、大統領を警護する軍部隊との対峙状況まで越えたが、結局、警護処の「人間の壁」前で停止した。/公捜処の関係者は「合同捜査本部が官邸に到着すると、警護処はバスと乗用車およそ10台を動員して官邸の建物につながる進入路自体をふさぎ、その後ろに約200人が集まって数重にも腕を組み合いながら尹大統領の逮捕を阻止した」と明らかにした。特に一部は銃器など個人の火器で武装した状態だった。強制的に進入したり特殊公務執行妨害容疑などで現行犯逮捕をしたりする場合、物理的な衝突が発生しかねない緊迫した状況だった>(4日、韓国紙「中央日報」日本語版)。
韓国が法治国家でなくなりつつある現状を深刻に受け止める必要がある。大統領警護局(処)、軍、検察、警察、国家情報院など、国家の暴力装置を分有する機関(「力の省庁」)は、自らの生き残りを考えるだけで精一杯になっている。
また「力の省庁」内部でもさまざまなグループが異なる思惑を持っている。当事者にとっては、どの勢力が勝利するかで、投獄を含め自らの運命が変わってくるのだから必死になるのは当然だ。その結果、韓国の内政、外交は事実上麻痺している。
他方、経済と社会生活が正常に維持されているため、危機が過小評価されている。暴力装置を持つ「力の省庁」の偶発的衝突により、大混乱が生じる可能性を考えておく必要がある。そうなった場合、最終的には軍が動いて、力で秩序を回復すると思う。
現下の韓国に関しては、通常の友好国に対するのとは異なる手法、すなわち協力者から内部情報を得るなどのインテリジェンスの手法を用いて、情勢を分析する必要がある。
東スポ 2025年1月9日 11:30
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/330025