大阪の「教育非常事態」宣言から16年、大誤算のなぜ…学力は上がらずむしろ不登校・暴力・いじめが増加

大阪の「教育非常事態」宣言から16年、大誤算のなぜ…学力は上がらずむしろ不登校・暴力・いじめが増加

大阪の「教育非常事態」宣言から16年、大誤算のなぜ…学力は上がらずむしろ不登校・暴力・いじめが増加

1 七波羅探題 ★ :2025/01/01(水) 17:30:20.91

ダイヤモンド・オンライン2025.1.1 8:00高田一宏:大阪大学大学院人間科学研究科教授・博士(人間科学)
https://diamond.jp/articles/-/356299

橋下徹大阪府知事(当時)は2008年、「教育非常事態」宣言を発令。大阪の小中学生の学力低下問題を解決すべく、橋下は新自由主義的な教育改革を大胆に推し進め、学校を競わせ、生徒たちを競わせた。だが、学力は伸び悩むまま、高校の不登校者数が全国1位になり、暴力といじめは増加。なぜこうなってしまったのか、新自由主義的な教育改革の問題点を問う。

■全国平均を上回るという学力向上の目標は達成できず
大阪の教育改革の基本方向を打ち出したのは、橋下徹知事(当時)による「教育非常事態」宣言(2008年)である。その翌年には改革を進めるための具体的な計画「大阪の教育力向上プラン」(2009年)が策定された。このプランは「大阪府教育振興基本計画」(2013年)、「第二次大阪府教育振興基本計画」(2023年3月)へと引き継がれて、今に至っている。

この間、改革の最優先課題として挙げられてきたのは学力水準の向上である。「第二次振興計画」の中で、大阪府教育庁は「府内公立小中学校の学力・学習状況は算数・数学でほぼ全国水準にまで改善している」と総括している。

「教育力向上プラン」は、学力水準の向上について、小・中学生の全教科・区分で「全国平均を上まわる」という数値目標を掲げていた。改革開始後数年間は大阪の学力水準は全国平均に迫ろうとしていたが、最近の約10年間、全国平均との差はほとんど変化していない。

第一次振興計画初年度の2013(平成25)年度から最終年度の2022(令和4)年度にかけて、算数の対全国平均比(全国平均を1とした時の大阪の正答率)は0.990から0.991になった。数学の対全国平均比は0.955から0.986になった。一方、国語では、小学生の対全国平均比は0.973から0.976、中学生は0.948から0.974になった。

(中略)

■高校の不登校者の比率で大阪は全国第1位に
次に生徒指導上の課題をみよう。ここでは、文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(旧「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査」)から数字を拾ってみたい。不登校や中退そのものは「問題行動」とはいえない。だが、不登校や中退によって教育を受ける機会が閉ざされたり進路選択が難しくなったりする可能性は高い。教育からの排除は労働市場からの排除へとつながる。現在の学習権と将来の生存権の保障に関わるという意味で、不登校や中退は放置できない教育課題である。

表6-1に示すのは一連の教育改革が始まった頃(2007年度)と直近(2022年度)の不登校と高校中退の状況である。

2007年度の大阪府の不登校者数は、小学校1596人、中学校7547人、高校5881人だった。その数は、2022年度までにそれぞれ7153人、1万3651人、6452人に増加した。小学校と中学校を合わせた1000人あたりの不登校者数は、12.3人から32.4人に増加した。全国では12.0人から31.7人への増加である。高校では1000人あたりの不登校者数は26.8人から31.8人へと増え、全国第1位になった。全国では15.6人から20.4人への増加である。このように、結局のところ、かねての課題は積み残されたままである。

高校中退はどうか。2007年度から2022年度にかけて、大阪の高校中退率は3.4パーセントから1.6パーセントへと減少した。全国では2.1パーセントから1.4パーセントへの減少である。一頃よりは落ちついたものの、高校中退率は依然として高い水準である。人数は東京都の5047人に次ぐ3425人で全国2位、中退率では全国6位である。こちらもまた、課題は積み残されたままである。

大阪市では、不登校の生徒向けのカリキュラムをもつ不登校特例校の中学が2024年4月に開校した。特例校は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」の制定(2016年)を機に、全国で設置が進みつつある。また、先にも述べたように大阪府は、定員割れが続いていた府立高校2校を2024年度に「多様な教育実践校(ステップスクール)」に指定した。これは義務教育段階までに「学校生活での困りやつまずきを経験した」生徒を対象とする高校である。

これらの学校で学び直す機会を得る子どももいることだろう。だが、私は「特別」な学校を増やすことに諸手を挙げて賛成できない。「特別」な学校が増えることによって、「普通」の学校が不登校者や中退者を生み出す原因や背景が問われなくなり、「普通」の学校が変わる契機が失われてしまうからである。

(以下出典先で)

続きを読む

続きを見る(外部サイト)

VIP・なんJカテゴリの最新記事