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【ベストカー】 もう日本も欧米も勝てない!? 中共の[EV]は何が凄いのか?
今後の自動車業界で相当なアドバンテージを持つということ。いったい中国EVの強さの秘密は何なのか!? 国沢光宏氏が解説する。
2023年より日本でEVを販売している中国のEVメーカーBYD。3車種を展開中だ
今や中国市場における中国メーカーの電気自動車は敵なし状態となってしまった。日米欧韓も中国市場に電気自動車を投入したり、
投入しようとしているのだけれど、まったく歯が立たない状況。
なぜ中国勢は強いのか? こらもう簡単です。中国勢の主力となっているLFP(リン酸鉄リチウム)電池が圧倒的に安価で
高性能だからにほかならない。というかLFPを作っているの、中国だけ。
LFP電池の特徴は、正極材に超安価な鉄系素材を使っているため、同じ容量の三元系リチウム(ニッケル/コバルト/マンガン)に比べ、
生産コストは半分とも3分の2とも言われる。しかもセル(電池そのもの)が燃える危険性ほぼゼロ。
三元系リチウム電池、わずかな量であっても異物混入すると爆発的に燃えてしまう。
当然ながら素材だけでなく生産工程のコストだって抑えられます。
LFP電池唯一の弱点だったエネルギー密度の低さは、密集して搭載することで(三元系は密集させると発熱し炎上)、
三元系リチウムに限りなく近いスペース効率を実現できるようになった。
ここまで読んで「なぜ日米欧はLFPを採用しないのか?」と思うだろうけれど、
日本の自動車メーカーは口を揃えて「古い技術だしスペース効率が悪い」と、下に見ていた。「馬鹿にしていた」と言っていい。
結果的に開発が遅れてしまう。今はトヨタが次世代の主役電池という位置づけとし、ホンダや日産もおっとり刀で開発を
進めているものの、まだ2~4年かかる。その間、三元系リチウム電池ではLFP電池に押されっぱなしになります。
電気自動車の場合、生産コストにおける電池の調達価格割合は非常に大きい。極端なことをいえば、
生産コストの半分以上が電池代といってよい。
中国だと200万円の生産コストなら、そのうち50万円くらいが電池。日米欧だと100万円以上電池調達にお金ががかる。
つまり中国勢は車体に150万円掛けられるが、日米欧だと100万円しかかけられない。生産コスト段階で150万円と100万円じゃ
まったく違うクルマになってしまう。車格も装備内容も2ランクくらい違ってくる。
かといって日米欧が車体に150万円掛けたら、生産コスト250万円となり、価格的に勝負できなくなってしまう。
とにかく電池の調達価格差は決定的な違いになってくるということ。さらにLFP電池のほうが寿命が長いなど、クルマとしての魅力や
使い勝手で有利。日米欧が中国勢と同じコストで電池を入手できない限り、電気自動車で今後も勝つことはできない。
※本稿は2024年11月のものです
文:国沢光宏/写真:BYD、ベストカー編集部
2024年12月27日
https://bestcarweb.jp/feature/column/1067206