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【朝日新聞】「従軍慰安婦」「強制連行」の記述 教科書7社なぜ訂正 どう変わる 「用語制限に違和感」の声も
菅内閣が慰安婦問題と強制連行をめぐる答弁書を閣議決定したのは4月27日。「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」とした。朝鮮半島から日本に連れてこられた人々については「朝鮮半島から内地に移入した人々の移入の経緯は様々であり、『強制連行された』もしくは『強制的に連行された』または『連行された』と一括(ひとくく)りに表現することは、適切ではない」との答弁書を閣議決定した。
これを受け、10月11日までに、東京書籍、山川出版社、清水書院、実教出版、帝国書院、第一学習社、学び舎(しゃ)の7社が、高校の地理歴史や公民各科の教科書計39点と、中学の社会科の教科書計2点の記述をそれぞれ訂正申請し、教科用図書検定調査審議会での議論を経て文科相が承認した。
「閣議決定に従った」
山川出版社は、現在使われている中学社会(歴史的分野)や高校日本史Aなどの教科書に「いわゆる従軍慰安婦」などの記述があるが、来年度からは削除したり、「従軍」を省き「慰安婦」などの表現に直したりする。同社は取材に「文科省から連絡を受け、閣議決定に従い訂正した」と答えた。
実教出版は、来年度から高校の新科目となる「歴史総合」の教科書に「いわゆる『従軍慰安婦』」との記述があったが「慰安婦」と訂正する。「強制連行」については「動員」などとした。取材に「元々それほどスペースを割いて説明しておらず、限られたスペースで、高校生が誤解なく理解できるようにと考えた」と説明した。
文科省、異例の説明会 「用語制限に違和感」の声も
中学社会や高校の地理歴史、公民の教科書をめぐっては、第2次安倍政権時の2014年、検定基準に「政府見解がある場合はそれに基づいた記述」をすることが定められた。文科省によると、検定済みであっても、誤字・脱字や学習上の支障が生じるおそれがある記載を見つけた場合、必要な訂正をしなければならない。文科省は今年5月、教科書会社約20社を対象に説明会を開き、4月の閣議決定の内容を伝え、配布資料で「6月末まで(必要に応じ)訂正申請」と示した。
ある社の担当者は「訂正申請はこれまでは自主的に判断して出してきた。こうした説明会は初めてで、判断を見直すきっかけになったのは間違いない」と話す。別の社は「説明会をプレッシャーには感じなかった」としつつ、「社会科の教科書は様々な研究に基づいて自由に編集してきた。閣議決定で、使う用語を制限されることには違和感がある」と答えた。
閣議決定の背景に何があったのでしょうか。学校現場で教える教員の思いは――。記事の最後では、7社の主な訂正内容もまとめて紹介します。
以下有料記事
朝日新聞 2021/10/31 7:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPBZ26F4PBFUTIL018.html?iref=sp_new_news_list_n