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【産経新聞】韓国ロケットの悲喜 「基礎抜き、中抜き、結果オーライはまずい」
韓国で国中が注目した国産ロケットの打ち上げが21日行われたが、妙な結果に終わった。打ち上げ自体は成功したものの、最後の3段目のエンジンが出力不足(?)で目標の衛星軌道に到達できなかったからだ。政権の〝業績づくり〟で現場に出かけた文在寅(ムン・ジェイン)大統領も成功を前提に準備した演説を「発射は成功したが未完の課題を残した」と手直しするなど大慌てだった。
しかしロケットは立派に上昇していったため国民は満足し、マスコミも他国の例を挙げ「打ち上げに失敗や足踏みはつきもの」と慰めていた。官民挙げて目立ったのは「自力開発」「独自技術」「純粋国産」「韓国型」をしきりに強調する愛国ムード。これまでのロシアの協力が印象付けられているせいかもしれないが、韓国も他国の経験を学んできたのだから「オレが、オレが」を言い過ぎるのはいささか見苦しい。
韓国のロケット開発の歴史は浅く、ここ20年くらいの間だ。何事も後発者は先行者に学ぶので進み具合は早い。日本が1955年、長さ23センチ、重さ190グラムというそれこそ独自で素朴な〝ペンシルロケット〟からスタートしたのとはわけが違う。早くも「宇宙強国へ!」がいわれるが、識者の間に「基礎抜き、中抜き、結果オーライはまずい」と自戒の声がなくもない。(黒田勝弘)
産経新聞 2021/10/23 07:00
https://www.sankei.com/article/20211023-QSHB4CILOBPKLNELTI3BLNJZJU/