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韓国が「世界で最も老いた国」になり、中国の人口は「半数」になる未来
外国の人口変化も頭に入れた経営戦略を
国内需要が急速に減っていく日本は、いずれ海外に打開策を求めざるを得なくなる。
それには、各企業が海外マーケットで通用する優位性を明確にすることが必要だと述べてきたが、もう一つ忘れてはならない重要なポイントがある。
相手国の将来的なニーズを把握することだ。これから本格的に外需の取り込みをしていかざるを得ない以上、現状のニーズ分析を行うだけでは不十分である。
進出先のマーケットの将来性を理解していなければ大きな痛手を受けかねない。もちろん戦争やクーデターによる政権交代、自然災害など読み切れない要素は多いが、ある程度の予測がつくこともある。
本書『未来の年表 業界大変化』がテーマとしてきた人口の変化である。日本国内でもそうだが、外国のマーケットも人口の変化を織り込まなければ意味をなさない。将来人口の把握が最も重要なのだ。21世紀は「人口の激動の世紀」でもあり、その動向をしっかり頭に入れて経営戦略を立てなければならない。
外需の取り込みといっても、進出先の国に営業拠点を置いて乗り込んでいくだけではない。観光業や飲食店だったらインバウンド(訪日外国人観光)需要の取り込みだ。「越境EC」といった国内に居ながらにしてのビジネスは中小企業においても年々伸びてきている。いずれのパターンにせよ、相手国のニーズや生活水準の変化といった情報を知る必要があるという意味においては同じである。
東・東南アジアの将来性は危うい
日本のメーカーや商社などには、これまで「東アジア・東南アジア」に進出してきた企業が少なくないが、このエリアの国々には今世紀半ばにかけて日本と同じくマーケットが高齢化しながら縮小するところが増えてくる。経済成長性に陰りが出てくる国が多くなるだろう。
2050年までに起きる世界人口の変化の最大の特徴は、「中央・南アジア」の人口が「東アジア・東南アジア」を抜き、「サハラ砂漠以南のアフリカ」が遜色ない規模にまで拡大する3大エリア時代になるということだ。人口の軸が今世紀中に西へ、西へと少しずつ移動していくのである。
社会発展の度合いは国ごとに異なるのでそのまま国際マーケットのニーズの変化を意味するわけではないが、人口の軸が西に移動していくにつれて日本においてはあまり馴染みのなかった国々との交流の必要性が増すことは間違いない。
激変する韓国・中国
一方、近隣国はどうかといえば、東アジア諸国は世界で最も激変する地区だ。これから少子高齢化が深刻になるためである。
韓国の合計特殊出生率はこの数年「1.0」にも及ばぬ超低水準を推移しているが、韓国統計庁によれば、2021年は0.81にまで下がった。この結果、総人口は2022年の5162万人から2070年には3765万人へと27.1%も減少するという。2070年の高齢化率は46.4%となって生産年齢人口(46.1%)をも上回る。「世界で最も老いた国」になる見通しだ。
中国の変化も著しい。中国の統計データは政府に都合よく改ざんされることが多いとされるが、国連の推計によれば、合計特殊出生率は日本より低く2022年は1.18だ。中国も韓国と同じく危機的状況にある。国連は2030年には1.27、2040年には1.34、2050年には1.39になるとして将来人口を計算している。
日本貿易振興機構(JETRO)が「世界人口推計2022」を基に今後の中国を展望しているが、総人口は2022年(7月1日時点)の14億2589万人をもってピークアウトし、2023年にはインドに追い越される。
2030年に14億1561万人、2040年は13億7756万人とカーブを急にしながら減っていく。2100年には7億7000万人ほどになる見込みだ。一方のインドは、2063年の16億9698万人まで増え続けると推計している。
中国の将来人口については、国連の推計とは別に中国国内の学者もさまざまな試算を行っているが、衝撃的なのは西安交通大学の研究チームの予測だ。
香港紙が伝えたところによれば、合計特殊出生率を1.0として推計した結果、2050年の総人口は7億人台にまで減るというのだ。2022年は1.18であり、荒唐無稽な予測とは言えない。
本当に30年も経たないうちに総人口が半減近い水準になったならば、中国社会は混乱に陥り、経済低迷は避けられない。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1098cf8743a0f9df10e3ba5b973681886cced40