あわせて読みたい
【フィリピン・ドゥテルテ大統領】ワクチン接種率が上がらないことに苛立ち 「コロナワクチン未接種者は寝ている間に強制接種だ!」
フィリピンの地元メディアによると10月11日夜のテレビ中継された閣議の席でドゥテルテ大統領は
「多くの国民がワクチン接種を受けたくないことはわかっている。しかしワクチン接種を拒む人々は問題である」と感染拡大が止まらない状況の中で
政府が積極的に進めているワクチン接種が成果をあまりあげていないことに不満を表明。
そして「そういう人が寝ている間に家に入って接種を受けさせようではないか。私が率先して実行するぞ」と発言したのだった。
大統領府のハリー・ロケ報道官は12日、ドゥテルテ大統領の閣議での発言に関して「単なる冗談だ」と一言コメントしただけだった。
ドゥテルテ大統領の暴言は2016年の大統領就任以降、たびたびメディアを賑わせてきた。
最近はコロナの感染拡大に伴い、進まないワクチン接種に関する不規則発言が相次いでいた。
6月にはワクチン接種を望まない国民にたいしてフィリピンを出ていくように「脅迫」したほか、
やはり6月にはテレビ演説で「政府の言うことを聞かない人々に私は怒っている」として「村落の指導者は接種拒否者の名前を記録するべきだ」
と述べるとともに「ワクチン接種を拒むものは投獄する」とまで発言したのだった。
いずれのケースも大統領府が「大統領のいつもの冗談である」として国民やメディアに冷静な対応を呼びかける、というパターンが繰り返された。
低い接種率に焦燥感
フィリピンでは主に中国製ワクチンを中心に国民への接種が進められているが、6月時点で少なくとも1回の接種受けた国民は893万人で約6.1%にとどまり、
7月には1回目を接種した人は10.22%、2回接種を受けた人は5.56%と低い水準で推移。8月には1日平均で接種回数が50万回と加速して合計接種数は900万回に達した。
しかし国民全体でみると1回の接種者は2913万人、26.7%と低く、東南アジアの中でも低水準にとどまっている。
一方でフィリピンのコロナ感染者・死者数は10月13日現在でそれぞれ約268万人、約3万9000人で、
ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国中ではインドネシアに次ぐ2位と不名誉な記録となっている。
フィリピン政府は2021年末までに7000万人の接種を完了するとの目標を掲げていたが、現状のままでは実現は困難な状況となっている。
NEWSWEEK
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/10/post-97267.php