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渋沢栄一が設立「朝鮮銀行」帳簿が韓国で発見 「公金を不正に支出…日本への賠償要求資料に」
MBCニュースは6日、朝鮮戦争時に焼失したとみられていた朝鮮銀行の資料が発見されたと報じた。
朝鮮銀行は日本統治下の朝鮮で中央銀行の役割を担ったが、母体は渋沢栄一が設立した第一銀行だ。1878年に釜山支店を設立した第一銀行は朝鮮での事業を拡げ、1902年には当時大韓帝国から公用紙幣を流通させる権利を得て、事実上の中央銀行となった。しかし、民間銀行が中央銀行を担うことが問題視され、渋沢と伊藤博文による調整の結果、大韓帝国政府や日韓皇族など出資を得て「韓国銀行」(1909)となり、日韓併合条約後の1911年に特殊銀行として「朝鮮銀行」と改称された。
MBCは、放送において、発見された資料が「日本から解放された直後、当時中央銀行だった朝鮮銀行が作成した文書」であるとし、「当時、(韓国)政府が日本に賠償を要求するために作成した根拠資料」であると伝えた。
全197点に上る同資料は、日本統治期の日本人への貸付金や仮払金、預金や不正支出などが詳細に書かれているとMBCは伝えた。韓国銀行の保管室に眠っていたものが国政監査で発見されと説明された。
MBCの取材に応じたチュ・ヨンス博士(北東アジア歴史財団研究委員)は「日本人官吏の責任者が、ボーナスとか見舞金、退職金などの名目で公金を不正に支出したのでしょう」とし、「官用物品を買うとか、日本人官吏の官舎を建てるとか…」と述べ、同資料に不正会計が疑われる内容が含まれていることを伝えた。
MBCは、同資料は1949年に韓国政府が日本に賠償を要求するために作成した「対日賠償要求調書」の根拠資料の一部であると説明した。チュ博士は、「(対日賠償要求調書で)私たちが要求した金額がとんでもない内容や感情的な訴えではなく、徹底した実証と論理に基づいて対日賠償問題を解決していこうと努力したことを知ることができる非常に重要な基礎資料として意味があります」と答えている。
同放送においては、不正会計資料と賠償請求がどのように繋がるのかについての詳細な説明はなされなかったが、日本統治下の朝鮮で日本人官吏による公金着服を国への損害と捉え、それを被害金額に算入し賠償請求に含めようとした意図があったものと推測される。朝鮮銀行は朝鮮戦争直後(1950年)のソウル陥落の際に朝鮮人民軍に占拠されている。同資料はその時に焼失したとみられていたことから、日韓国交正常化交渉(1951年~)においては俎上に載らなかったものと考えられる。
資料には、当時日本人官吏の認印や、解放(1945年8月15日)直後から3年間の主要事件や事故を記録した「状況日誌」も含まれた。朝鮮銀行は、解放後に米軍の管理下に置かれたが、1950年に韓国銀行が設立されるまでの期間、38度線以南の地域における中央銀行および商業銀行として存続した。(日本国内の資産は後に日本債権信用銀行→あおぞら銀)
これら資料は来年から韓国銀行の別館で展示され、アーカイブを通じてオンラインでも公開される予定だという。