トヨタ「絶対王者」の終焉…最高値の日本株市場で株価低迷の真相

そんな中、日本の株式市場を牽引してきた「絶対王者」であり、ハイブリッド車で世界を席巻してきたトヨタ自動車<7203>の株価低迷が止まりません。
2026年に入ってからの株価下落率は一時2割に迫り、株式市場における存在感が急速に薄れつつあります。
長らく日本の上場企業の頂点に君臨してきたトヨタに、いま何が起きているのでしょうか。
トヨタ自動車の苦境を最も象徴する出来事が、時価総額ランキングにおける首位陥落です。
6月12日、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス<285A>の株価が急伸し、時価総額が45兆円台に到達。
これによってトヨタを上回り、国内上場企業のトップに躍り出ました。
実はその直前の6月1日にも、トヨタはソフトバンクグループ<9984>に抜かれる場面があり、王者の座が激しく揺らいでいる状態です。
この逆転劇の背景には、世界的な人工知能(AI)ブームによる投資マネーの大移動があります。
米テック企業のAIデータセンター向け投資が急増したことで、NAND型フラッシュメモリーを手掛けるキオクシアは業績が急拡大しています。
市場の見方によれば、キオクシアの今期(2027年3月期)の連結営業利益は前期比8倍の約7兆円に達する見込みで、トヨタが計画する3兆円を大きく凌駕します。
現在、投資家の熱狂はAIや半導体の関連株に集中しており、日本株のアクティブ投資信託においても自動車セクターの保有比率が引き下げられるなど、自動車株は完全に「蚊帳の外」に置かれています。
株式市場から冷遇されるトヨタの株価は、6月11日には10か月ぶりとなる安値を付け、企業の解散価値を示すPBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく割り込む0.81倍にまで低下しました。
これは、東日本大震災やタイの洪水、そして、1ドル=75円台という歴史的円高が重なった2011年11月以来、実に14年半ぶりの低水準です。
現在は1ドル=160円程度の円安環境であるにもかかわらず、当時と同等の先行き不安が市場を覆っていることがうかがえます。
トヨタの株価を押し下げている要因は複合的です。
第一に、中東情勢があります。
アメリカとイランは戦闘停止で合意したと伝わりましたが、自動車生産や部品の供給網、さらにはナフサの供給に対する不安は根強く残っています。
第二にトランプ政権による輸入関税の打撃、第三には原材料費の高騰や人件費などのコスト増が重くのしかかっています。
これらの要因により、トヨタは前期(2026年3月期)の営業利益が22%減となったほか、今期も純利益が3期連続の減益(3兆円)になるという厳しい見通しを発表せざるを得ませんでした。
全文 Newsweek日本版

